15年前の今日

otomojamjam2010-01-17

関西の震災の日。
当時オレは東京は東伏見の今にも崩れそうな四畳半のアパートに住んでいて、ちょうどこの日やってきたのは飴屋法水さんとそのスタッフ数名。飴屋さんと初めて会ったのはこの日だったと思う。
となりの部屋(当時は内橋和久の東京の宿になっていた)においてあった小さなソニーのテレビをみなで見ながら言葉もなかった・・・そんな記憶がある。
そのときの様子は、ビデオに収録され、当時飴屋さんがやっていた展示「パブリックザーメン」で流れていたから、今もどこかにこのビデオ残っているかもしれない。


この数年の神戸の音遊びの会の子供たちや親御さんたち、そして学生やミュージシャンたちとの交流の中で、いつのまにか、他人の土地だった神戸がとっても身近になり、そういえば実は、わたしの父は神戸生まれだったっけ・・・なんてことも思い出し。


そんな神戸が舞台になっている震災15周年のドラマの音楽をやらせてもらっている。放送は今日の夜の11時から。多分今頃は最後のシーンの撮影でスタッフは大変なはずだ。


先日の日記にも書いたけど、今までやってきたドラマの音楽の中でも、このドラマは一番の難産だった。ちっとも思い浮かばなかったのだ。だって震災に音楽なんてつけようがない。そんな失礼なこと出来るわけがない。そう思ってしまったら、なにも出来なくなった。
悩みに悩んだ挙句、震災にではなく、森山未來佐藤江梨子、そして神戸の夜の街の灯、その3つに向けて音楽を書くことにした。震災ということではなく、彼らのドラマだったり、街の灯にならオレでも曲が書ける、あとは、見てくれた人それぞれが、そこから自由にいろいろ思って感じてくれればいい・・・そう思えたときに音楽が生まれてきた。素敵な演奏と録音のおかげもあって、結果的には自分でもすごくいい曲が出来た・・・そう思っている。
それでも、実際に震災を体験した人たちはどう見てくれるのだろう。そもそもそういう人は、見たくないのではないだろうか? いまでもそんな不安にずっとかられている。


「クラーマーズ・ハイ」「鬼太郎の見た玉砕」「最後の戦犯」そして今回の「その街のこども」・・・なぜか実際に多くの死者が出ている重いテーマのドラマの音楽をやらされることが多い。でもいつも思うのは、強く思うのは、音楽は希望に向かうべきだってことだ。死に向かうような音楽は好きじゃない。鎮魂も含め希望。
たとえドラマであつかわれる出来事は悲劇的なものだったとしても、描かれるものは誰にでもありえる普遍的なものであるということ。テレビドラマに音楽が必要だとしたら、そこの部分なんだと思う。
今回のドラマは等身大の希望・・・・そんな風にオレは思っている。

1月17日(日)23:00〜24:13 NHK総合テレビ
阪神・淡路大震災15年 特集ドラマ「その街のこども
出演:森山未來佐藤江梨子 ほか
演出 井上剛
プロデュース 京田光広
脚本:渡辺あや
音響 山田正幸
http://www.nhk.or.jp/hisaito/sonomachi/story/
http://www.nhk.or.jp/hisaito/sonomachi/


音楽 演奏 大友良英(作曲、el-g)
江藤直子(piano, セレスタ、el-p, ストリングアレンジ) 
近藤達郎(ハーモニカ、organ)   
松本治(tb) 青木タイセイ (tb)
ナスノミツル(b) 山本達久(ds)  
工藤美穂(violin) 加藤由紀子(violin) 佐藤雅子(viola) 井上とも子(cello)
スペシャルゲストとして
阿部芙蓉美(vo) 森山未來(ds, perc)
録音 NHK506スタジオ 2009年12月〜2010年1月
エンジニア 中川原修  アシスタントエンジニア 佐々木志了