今日はロンドンの新しいスペース cafe OTO について少しばかり

otomojamjam2009-03-15

前の日記に、ロンドンの女の子は、さほどおしゃれじゃないし・・・って書いたけど、訂正、訂正。まあ、町中の感じは相変わらずですが、cafe OTOにはおしゃれな素敵な女性がたくさん来てました。
ってか、オレみたいなおしゃれゴコロの欠落した人間に、こんなこといわれたくないっすね。失礼、失礼。


それはさておき、書きたいのはcafe OTOのこと。ここでの数日間は本当に楽しかったし、どのコンサートも本当に素晴らしかったけど、単に僕等の演奏がよかったって話ではなく、もうじきオープン1年を迎えるこのカフェの存在がロンドンのアンダーグラウンドな音楽シーンを静かに変えつつある、というのをひしひしと感じで、それが本当に面白かったのだ。いつも書くことだけど、なにかが生れる瞬間に立ち会えるってのは本当に幸せなことだ。


cafe OTOに初めて出たのは昨年11月。最初の印象は、なんだか六本木の「スーパーデラックス」に似てるぞ・・・だった。ステージの感じとか、なんとなく広さの感じも似てるんだけど、それだけじゃなく、関わってる人たちの、ライブに対する愛情の持ち方と、べたべたしないけど、しっかりと関わってくれるいい具合の距離感が似てると思ったのだ。


オーナーのハーミッシュとけいこさんのふたりとは、その後メールでいろいろとやりとりするようになり、でもって今回の3デイズをやることになったわけだけど、その企画の進め方や、ミュージシャンのもてなし方の気持ちのいいこと。あくまでもこちらのやり方を最大限尊重しつつ、おさえるツボはしっかりと押さえる。ちょっとしたことなんだけど、それが出来る人ってのは、そうそうはいない。でもって、そう思ってるのがオレだけじゃないのはロンドンのミュージシャン達を見ていてすぐにわかった。AMMのエディ・プレヴォーやエバン・パーカー、スティーブ・べレスフォード、チャールズ・ヘイワードといった大御所から、マーク・オステル、ロードリー・デイヴィス、ベン・ドゥリューといった若手にいたるまで、口をそろえて、ここが出来たことで、どれだけ助かってるかを本当に嬉しそうに話してくれるのだ。マークにいたっては、一昨年なくなってしまった彼のCDショップが、cafe OTOの奥の小さな小部屋で再開することになって、喜びもひとしおだろう。子供みたいに目がキラキラと輝いていた。


なんというか、素朴な言い方だけど、みんなの居場所が出来た感じ・・・ってのが一番あたってるかな。実際、オレらのライブが終わったあとにも、他での仕事を終えたミュージシャンたちがcafe OTOに集まって来てわいわいやってるし、この感じ、なんだかかつでのオフサイトの二階にあったカフェのようでもあるし、深夜の新宿PITINNのようでもあって、なんだかとっても嬉しかった。みんな、ここを自分の居場所だと思ってるんだ。なにより、数日間いただけの僕等だって、ここを自分たちの居場所って思えたんだもの。これって、cafe OTOの持つ吸引力がどれだけすごいかってことだ。


スエーデンからロンドンと、ずっと一緒だった坂田明さんとも、この店の厨房で、ふたりきりで、いろいろな話をした。坂田さんとは何度も共演してきているけど、じっくり話すのは初めてのことだ。その内容は、もったいなくて、とてもここには書けないけど、本当に有意義な話。そんな機会をつくってくれたのも、この店の場の持つオーラだと思っている。


東京やニューヨークもそうだと思うけど、ミュージシャンも観客もそこそこいる大都市で、ある活気ある音楽のシーンのようなものが生れるのには、必ずと言っていいほどこういう「場」が必要だ。こういう「場」というのは、自分の居場所だって感じられる場のことだ。この居場所と思えるような「場」ってのは、単に場所があるだけでも駄目で、面白いミュージシャンがいるだけでもやっぱり駄目で、立地条件や運営する人たちを含む様々な人たちのオーラがまざりあって生れる化学変化のようなものが不可欠なのだ。ここにはそれがある。



cafe OTOとは、将来につながる壮大なプロジェクトの話をはじめている。実現できるかどうかわからないくらい難しい企画になりそうだけど、もし実現したら映画が一本、本が一冊できるくらいの濃いものになるだろう。といっても、眉をしかめて会議してるわけではなく、チャイナタウンで飲茶をしながらの作戦会議。出来る、出来ないはともかく、こういう話が動き出す瞬間がオレは本当に大好き。


ロンドンなら住んでもいい・・・って思えるくらい、ここが好きなのは、こういうことがいつも起こるからかもしれない。


そうそう、cafe OTOで入江敦彦さんと再会できたのも嬉しかった。彼からは「イケズの構造」という本をいただいて、いや〜、この本、面白い。都市人間論にもなってる。なぜか、欧州で京都の人のことを勉強しながらロンドンのことを考えております。


cafe otoの写真、実は演奏中のものが全然なくて・・・。仕方ないので、上はcafe OTOの表。おかげさまでcafe OTOの3デイズ、2日目、3日目はソウルドアウトの盛況でした。下はチラシ。そしてリハ中のクリスチャン・マークレー。







本日15日の日曜日はアムステルダムにあるSTIMEでDJ Sniffとの初DUOライブ。15時スタートです。アムスのみなさんぜひぜひ。終わったあとにはパーティもあるみたいですよ。