明日はいよいよ

オフサイトの最終日。この5年間言葉に尽くせないくらいオフサイトには世話になってきました。わたしにとっては、PITINNとともに、自分の音楽を発展させられる、本当に貴重な場所でした。何より、それまでになかったある音楽が実際に立ち上がる現場をつぶさに見れたこと、そしてそこに参加できたこと、こんなことはそれ以前もこの先もそうそうあるもんではないって思ってます。実際この5年間、ここで生まれた音楽は、実にユニークな、多分それまでの音楽シーンのベクトルとは微妙に違う方向を示してきた音楽だったように思います。具体的には、音楽の進化みたいなものが、常に右上がりの強度なり複雑さに向かうようなものが20世紀だったとすると、そうした方向とは異なる音楽への問い直しが、ここでは毎週のようにおこなわれていたんだと思います。微妙なものや、上手くいってないものも含め、今考えると、どれもとっても素敵で、なんだかいとおしいなって思います。
ここで最初にやったのはFilament+杉本拓でした。その拓ちゃんとアコースティックギターDUOの録音もここで最初期にしているんです。これすごく好きな内容で、フランスのレクタングルから出る予定でギャラまでもらいマスタリングまでしたのに、その後、5年たった今も出てないんですよね。これあの時期に出すべき内容だったのになあ。これいつかどこかでかならず出したい。わたしが作曲をより気軽に頻繁にやりだしたのも、ここで行われたコンポーズドシリーズが大きかったし、秋山徹次の衝撃的な事故のようなターンテーブルソロを最初に見たのもここでした。いや、そんなこんな、思い出したらきりがないけど、本当に面白かった。伊東篤宏さん、伊藤ゆかりさん、本当にご苦労様。素敵な場所と時間をありがとう。
明日はオフサイトのオープニング時にも演奏したFilamentを。残念ながらチケットは全て売切れてしまいましたが、これで終わるのではなく、ここから次にいくわけで、だからさよならライブみたいなのではなく、僕等はいつもどおりの演奏を淡々としようと思っています。
多分それは5年前と同じように見えるかもしれませんが、まったく違うものになっているはずです。