ワルシャワ2日目  多言語について思う

otomojamjam2005-05-24

ワルシャワ2日目。今日の会場は古い美術館の中庭。せっかくのオープンエアーなのに昨日までの夏空がウソのように肌寒くて今にも雨が降りそう。


サウンドチェック前、遅い昼飯を、現地で一番有名な日本料理屋の「日本館」で。今回は、どこも食べ物が非常に美味しかったし、きのう和食を口にするまでは、べつに日本食が恋しいわけでもなく、現地の料理でも全然OKと思っていたのだけれど、やっぱり、味噌汁やら納豆、漬物、煮物なんかを白米とともの口にしてしまうと、脳内物質がでてしまうんですね〜。皆メニューにでている「焼肉定食」「かつどん」「てんぷらうどん」「ざるそば」「寿司定食」・・・の文字に反応する、反応する。かえりには夜食におにぎりをつくってテイクアウト。ごちそうさま〜。



コンサートのほうは、なんと芳垣がサウンドチェックでトランペットを吹いた瞬間に雲が切れて晴れ間が。会場があまりにも残響が多すぎてPAは決していい状態とはいえなかったけど、オープンエアーのなか僕等は気持ちよく演奏させてもらった。



今日はマーチンのたってのリクエストでオーネット・コールマンのロンリーウーマンをやることに。数年前にやったときの譜面を研太がもっていたので、ムーンシャインズのアレンジを土台にしつつその場でヘッドアレンジ。どちらもDmなのにDメジャーに一瞬なるところとかメロディの感じもそっくりだしね。
楽屋でアルフレッドが、日本語のなかでドイツ人がひとりずっといるのは孤独なもんなっだよ・・・なんて話をこの曲にからんでちらりと。実は彼がはいってから、このことはオレもずっと気になっていいた。僕等の共通語は英語。両方にとって外国語だ。たとえばオランダとか北欧、スイス、あるいはドイツの都会では、ひとりでも自国の言葉がしゃべれない人がその場にいると、皆が英語や、フランス語などの共通言語に切り替えて話す習慣がある。習慣というよりは、多くの人種が肩をよりそって生きているところでもマナーと言ってもい。日本に育った僕等にはその習慣がない。たとえばリハーサルやサウンドチェックでは、わたしはなるべく英語を使うようにするし、皆もそれにあわせるようになったけれど、普段のツアーの中では、ついついアルフレッドをひとりにして、僕等は日本語の冗談の応酬に明け暮れてしまう。英語とフランス語がいけるカヒミさんがはいって(アルフレッドはフランス語も話す)ずいぶん状況が改善されたし、皆も昔にくらべたら英語をかなり話すようになったけれど、それでもアルフレッドの孤独は、日本人が一人しかいないバンドを多くやってきたオレにはよくわかる。日本食が恋しくなるように、くだらない日本語の会話が恋しくなってくるあの独特の気持ち。日本に住んでいると、ついつい皆が同じ言葉をしゃべるものと思っているけれど、それは世界の中のほんとうに一部の出来事でしかかない。音楽とて同じことだ。同じ言葉でいつも冗談を言い合うような音楽は作りたくは無い。ONJQからONJEONJOへオーケストラ化していくベクトルの中には当然音楽の上でも、人間関係の上でも多言語化の方向を含むべきと思っていて、今まで、おそらくははるか昔朝鮮半島や中国から大量に人々が流入して以降は、ほとんどおこっていないであろう言語の混乱とミクスチャーを音楽の上でも、バンドの運営の上でもやりたい、やる必要があると思っている。アルフレッドやカヒミさんの参加は、その意味でもわたしにとっては重要な出来事だと思っている。


明日は飛行機でウイーンを経由してフランスのナンシーに移動。ここで毎年行われている
アバンギャルドミュージックフェス「ミュージック・アクシオン」に参加する。このフェス10年前にGROUND-ZEROで出演以来、2年に一回くらいの割合で出てるけれど、自分自身のバンドを率いてでるいのは、それこそGROUND-ZERO以来。今年で21周年。わたしの一番好きなフェスティバルのひとつ。