訃報 川崎克己

なんだか、ここのところ世話になった人やら、敬愛する人たちの訃報が多くてやりきれないが、サウンドエンジニアの川崎克己氏がくも膜下出血で急逝されたそうです。評論家の北里義之さんのミクシーのサイトで知りました。川崎さんと最後に仕事をしたのは2004年11月の東京FMホールで行われた金大煥追悼コンサート。
これははっきり覚えている。
でも最初に仕事をしたのがいつだったか思い出せない。いつだ? 記録に残っているのは広瀬淳二さんとDUOのアナログ盤を作ったときだから1989〜90年にかけてだけど、それ以前にも何度も顔をあわせているし、80年代中盤には、川崎さんのアシスタントをしたことも度々あった。フリーや即興系の録音を数多く手がけてきたひとで・・・そうだ、多分86年にデビッド・モスとクリスチャン・マークレーが初来日した時、このときに初めてちゃんと話したのではなかろうか。招聘したのは副島輝人さん。川崎さんはPAをやっていて、わたしは当時、このDUO公演のボランティアのアシスタントをしていた。以来、川崎さんの久我山にあった機材だらけのアパートに度々おじゃました。かわいがっていただいた・・・と言ってもいいかもしれない。彼はオレに音響の基礎のようなものを叩き込んでくれた大切な恩人だった。生意気なオレは、そんな川崎さんとむきになって議論することもよくあった。まだ何もわかってなかったくせに。そのくらい世話になったし、一時期は本当に親しくしてもらっていた。厳しいけど、とっても暖かい人だった。録音の根本にあるのは対象への愛情と冷静な耳だということを、オレは彼から学んだような気がする。斉藤徹さんのソロのアナログ「Tokio tango」は音楽の内容もさることながら、川崎さんのやった録音も素晴らしくて、彼の仕事の中でも代表作ではないだろうか。十数年たった今でも色あせない名作だと思う。


川崎さん、いろいろありがとうございました。



心からご冥福をお祈りいたします。






明日は新宿PITINNで菊地雅晃(b)、ミドリトモヒデ(as)、藤井信雄(ds)のトリオにゲスト参加。