復調
すこし元気になってきた。
今日はホテルのベッドでずっと音楽ばっか聴いている。
元気になってきたとたんに聴きたくなったのは想い出波止場の『大阪ラ』
いつ聴いても、何度聴いても本当にチャーミング。助けられる。生きていくうえでオレにはこういったポップスが必要、必須。
山本精一は、2006年の今の時点で、何度でも聴きたくなるオレにとってのポップスを現在進行形でちゃんとつくってくれる本当に数少ない音楽家。オレもこんなレベルのポップスをいつかつくりたい。
他にはソニーロリンズの「ブリッジ」、晩年のデレクベイリー「バラード」「to play」、荒井由美から坂本九までがはいってる自分でつくった60〜70年代歌謡曲集。このへんもオレには素敵なポップス。元気がでてくる。
昨日のロンドンICAでのANODE、日本での公演のときと同じくPAなしで14名のミュージシャンが観客を取り囲む形で演奏。ただし前半の静かなセットは作曲内容を日本公演時とは大幅に変更して、ベルや弦の余韻のような音はほぼ無くして、よりストイックというか、音が非常に少ない上に、出る音も物音だけのような状態に。参加ミュージシャンの多くや、この手の音楽の通のお客さんは徹底的に静かな前半を主に評価してくれたようだけど、もちろん、これも本当に素晴らしいかったけど、オレ個人は、徹底的にラウドな後半がより気にいっている。なにしろ、後半はやってる人にも、聴き手にも、だれにも全体像はわからないし、わかならいぶん、自由と言えば自由きわまりないし、客が自由に歩き回って、なんだかややだらしがない状態になってしまうところもいい。今ははっきりと判断しにくいもののほうが好きだ。いずれにしろ、どちらか一方だけではすわりが悪い感じがしている自分がいて、だから、どっちが好きとかってことでもなく、なんで、食い合わせがわるようなことをやるんだか・・・って感じが自分ではいいのかな。あ〜〜、自分で説明すると、本当にだらしのないことになってしまう。
とりあえず、マルチトラックの録音をしたので、録音状態さえよければ絶対にCDにしたい。騒弱あわせて70分。タイトルは『Core Anode』にしようと思っている。
ところで今回のツアー中に久々に、小林信彦著「日本の喜劇人」を読み返した。オレは喜劇通ではないし、映画やテレビからただの一ファンとして昭和の喜劇人の姿を見ていただけなんで、日本の喜劇人について何かを語るような知識も経験もまったくない。ただ、トニー谷のことを書いた村松友覗の本なんかもそうだけど、喜劇人の人生、歩みを書いた本を読んでいていつも思うのは、僕等のようなミュージシャン(バンドマンと言い替えてもいい)と、喜劇人たちの考えていること、年齢とともに変化する考え方、あるいはその結果歩むことになるめちゃくちゃな人生が、どこかで通じているような気するのだ。そこらへんが興味深い。というか他人事じゃないなあと思いながら、2回も読んでしまった。