打ち上げと第2期ONJO
先日、某音楽系の学校でレクチャーをやりまして、で、その日は、ここの生徒たちにとっては、1年間の最後の授業。授業終了後はさぞや盛り上がって、涙と笑いの打ち上げみたいになるのかと思いきや、なんと、まるで、1年の最初の授業の後、みたいな感じで、自己紹介とかしあってる。みんな他人行儀なのだ。そもそも打ち上げ自体がはじめてらしい。う〜〜〜ん、ちょっと考えてしまった。事態は深刻だぞ〜音楽青年たち(笑
オレ、ユリイカの菊地成孔対談で、安いチェーン店の居酒屋とか行ってないで、旨いもの食え・・・とか言ってますが、訂正、訂正。旨い店でメシを食え・・・とか言う前の大大大大前提としてですね、打ち上げくらい普段からしなさいよ〜〜〜もう。酒を一滴も呑めないオレが言うのもどうかとは思うが(苦笑。・・・ってか大人ぶって若いやつに向かってこういうことを言いたくなってしまったオレもどうかとは思うが(再苦笑。え〜〜でもですねえ、打ち上げなんて、先生とか学校がやってくれるもんじゃなくて、自分たちでやるもんだろが、もう。ま、とにかく、安い居酒屋でもチェーン店でもいいから、音楽をやろうなんて思ってる人は、打ち上げくらいやったほうがいいと思うけどなあ。旨いもんとか言い出すのは、そういうのをさんざんやった上ででいいからさ。対談では旨いもんが足りないっていったけど、その前に打ち上げが足りない・・・だった。(上の写真はオレが1歳の頃の母方の実家での打ち上げ風景っす。こういう中で育ったからなあ、オレ)
その日の講義でもいいましたが、演奏が終わったあとに、たまれる場所があるってことが、音楽にとってどれだけ重要ななことか、どれだけその音楽を豊かにするか。そこで音楽とは関係のない馬鹿な話をして仲良くなったり、意見が割れたりすることって、オレはアンサンブルの延長だと思うんだけどね。ってか、そういう人間関係が基本にあって初めてアンサンブルってもんが生まれるというか。40年代のビバップ期NYのミントンハウスとかモカンボとかの演奏の出来る場もさぞや重要だったろうけど、そのあとにたまってうだうだ話したり、一緒にレコードを聴いたり、ま、当時だからドラッグをやったりするような場(ギル・エバンスのアパートがそうしたサロンになっていたそうだ)みたいなところがどれだけビバップを豊かにしたことか。かつて代々木にあったオフサイトは2階がバーだったってのが、なによりも素晴らしかったと思うのだ。そこにみながたまれて、うだうだ出来て、ここからいろんな音楽も生まれたし、いろんなプロジェクトも生まれたし、まあ、そうしたものだけじゃなくて、友達が出来たもの。。京都に吉田屋料理店があったおかげで、どれだけ、あたらしいプロジェクトが生まれたことか。ONJOは間違いなくあそこがあったおかげで生まれたバンド。without recordsみたいな美術の方面で作品をつくることになったのもあそこでの出会いが大きい。人間関係がダイナミックに作品に反映されるような、そんなもんが好きなオレとしては、打ち上げはとっても重要なのだ。。(ま、打ち上げみたいなもんを必要としない音楽もあるので一概には言えないけどね、あくまでオレの場合ってことで)
ということで、打ち上げから生まれたONJO、この夏のLIVE盤の発売を期に第2期に突入しました。この6月から試行錯誤をくりかえしつつ何度かやってきたリハやステージの中で、長年つれそってきた津上研太とアルフレード・ハルトはバンドを離れることになりました。正直、非常に悲しいですが、喧嘩わかれというわけではないのでご心配なく。彼等とは、別のプロジェクトで、これからも一緒にやることもあると思います。第一期のONJOがなんであったのかは、わたしなりにライブ盤2組にわたってはいっているライナーに詳しく書いたので、ここではふれませんが、この2組4枚にわたる膨大な作品を作ることで、わたしの中では、最初にONJOをつくった時の衝動みたいなものに、それなりの答えのようなものを出したつもりです。単なるピュアなライブ盤になっていないのはそのためです。・・あ、ところで余談っすが、実はライブ盤、Vol.1に比べてVol.2のほうが出ていないみたいで、う〜〜む、なんで? 芳垣安洋が伊集さんのコーラスをバックにルパンを歌っていたり、今、オレがもっともはまっているアジアンミーティングの第一回の最初のセットの激ノイズの様子がおさめられてたり、これでしか聴けないクライマーズハイのエンディングテーマが入ってるというおいしい内容なのに・・・。
ONJOのライブアルバム完成後のわたしの興味は、宇波拓がユリイカで書いたような問題点もふまえつつ、その先に見えるものにあります。このあたりのことは、実は2月に浅草でやった「幽閉者」のライブで試したり、あるいは1年前のONJOの欧州ツアーの中で、異例なことに、各地のミュージシャンとセッションしつつ回る・・・という実験をする中で、体験的に感じてきたことの延長上になります。また、ONJOの各メンバー達が、今まで以上に積極的に、音楽の内容にかんできていて、それぞれの立場を主張しだしてきてることが、このバンドの大きな生命力になりつつあることも、ものすごく重要です。数年前に比べても、みなそれぞれがそれぞれの音楽を主張しだしてきてる。もうわたし一人でアイデアを出す段階ではなくなってきているのです。わたしがどうしたい・・・というだけではなく、ONJOそのものがなにかひとつの生命体みたいになって、動き出してきてるように思います。もうひとつ、りわたし個人にとってものすごく大きかったのは、この2年、神戸の「音遊びの会」という知的障害を持つ子供たちのバンドと付き合ってきたこと。これがONJOの音楽にも大きく作用しています。まだまだそれら全てをうまく言葉には出来ない段階ですし、バンドとしてもそういった新しい出来事をまだ完全には消化しきれていない段階ですが、でも、はっきりと、次の段階に向けて動き出している・・・という感じです。
来週末からの国内ツアーは、この第2期ONJOの8月のPITINNに次ぐ最初の大きな実験になります。演奏される楽曲も、これまでのものもありますが、かなり大胆な改変がされたり、あるいは、まったく新しいものもやるかもしれません。それは常にやる場、空間と大きく関わるものになると思います。「空間と配置」は今のONJOにとっての大きなテーマです。そのことをふまえつつ、ONJOは場に応じて不定形になってくような気がしています。きまった形を再現するのではなく、場によって、毎回更新してくような音楽。12日の東京公演では、アナウンスされていませんが、山本精一が参加します。ゲストではなく、この日は彼はメンバーです。
13日の京都公演は、まったく異なる2つのセットをやります。最初のセットは前述「音遊びの会」の子供達が乱入します。彼等のものすごさとONJOをぶつけてみたくなりました。そこから見えるなにかを見てみたい、乱暴だけど、そう思って、1年くらい前から、このチャンスを狙ってました。やっと念願、実現します。どうなるのか、実はまったく想像すらできません。全然うまくいかないかもという不安、なきにしもあらずですが、でも、そんなもんは何ぼのもんでもない。とにかく奴らとONJOとて正面勝負でやってみたいのです。2セット目は敬愛する日本のフリージャスの第一世代、トランペッターの沖至さんを迎え(これもゲストではなく、この日はメンバーです・・・ってか最初のセットにも入ってもらう予定です)これまでにない大きな会場を生かした特殊なミュージシャン配置で、この日の京都でしか聴けないONJOをやります。
最終日14日の名古屋は、この2公演を踏まえた上で、従来のライブハウスという場所で、どれだけONJOが変化してきたかが試される場になると思います。
今のONJOは昨年9月の浅草のような、ある種完成したショーケースを見せるものとは根本的に異なります。聴きにきてくれる人たちにとっても安心できるようなものではないかもしれないし、ある種、音楽への積極的な関与がなければ、つまらないかもしれない・・・と思う一方で、でも、まてよ、そんなこともないかも、意外に今まで以上に、わかりやすい音楽なのかも、ともおもったり・・・。NHKTVの『鬼太郎の見た玉砕』の中の曲、今回もなんらかの形で生かしたいなあなどど、今は、とにかくリハを前に、いろいろなアイディアが出来の悪いアタマの中を交錯してる段階。あ、鬼太郎、再放送あるみたいですよ、詳細はまた後日。
チケットのほうは、東京、名古屋はまだ多少あるようです(当日も多少出せる方向で検討してもらってます)。京都は広い会場なので、ソウルドアウトはまずないと思いますが、当日いきなりではなく、一応メールでの予約お勧めします。
ということで、打ち上げに端を発したONJO,ますますの打ち上げ感とともに、ニューステージに向かっております。第一期を総括するライブ盤ともども、どうかお楽しみに。
ONJO JAPAN TOUR '07
http://www.callithump.info
10月12日(金) [TOKYO]公演 with山本精一@吉祥寺 STAR PINE'S CAFE 18:00 open/19:00 start
tel. 0422-23-2252 http://www.mandala.gr.jp/spc.html
料金:前売 \3,600/当日 \4,000(各ドリンク別、\600〜) 前売券取り扱い:チケットぴあ tel. 0570-02-9999 Pコード:268-202 STAR PINE'S CAFE tel. 0422-23-2252 お問い合わせ:キャロサンプ tel. 03-3316-7376 e-mail: info@callithump.info
10月13日(土) [KYOTO]公演 with沖至 音遊びの会@京都精華大学 明窓館201教室
京都市左京区岩倉木野町 叡山電鉄「精華大前」駅下車すぐ 京都市地下鉄「国際会館前」駅からスクールバス利用可
16:00 open/17:00 start(1st set)with 音遊びの会、19:00 start(2nd set ※1st setと2nd setの間に約1時間の休憩があります。 参加費:前売 \2,500(+郵送事務費\200)/当日 \3,000 前売券お申し込み方法: 件名を「ONJO 10/13」として、氏名、チケット送付先住所、電話番号、申し込み枚数をお書きになって、turn@shin-bi.jpまでEメールをお送りください。 数日後に事務局より返信が届きますので、その説明に従ってご入金下さい。入金を確認後、チケットを発送させていただきます。 なお、電話、はがきなどでの受付は行っていません。 お問い合わせ:京都精華大学「turn turn turn」事務局 turn@shin-bi.jp
10月14日(日)[NAGOYA]公演@得三(Tokuzo) 18:00 open/19:00 start tel. 052-733-3709 http://www.tokuzo.com/
料金:前売 ¥3,500/当日 ¥4,000(各オーダー別) 前売券取り扱い:チケットぴあ tel. 0570-02-9999 得三 tel. 052-733-3709 お問い合わせ:得三 tel. 052-733-3709
ONJOメンバー
大友良英(g,conduct), カヒミ・カリィ(vo),大蔵雅彦(as, b-cl,tubes)青木タイセイ(tb),石川高(笙) Sachiko M(sinewaves), 宇波拓(computer& objects) 高良久美子(vib),水谷浩章(b) 芳垣安洋(ds tp) 近藤昭祥(sound) 山本精一(g 12日のみ)沖至(tp 13日のみ)
ONJOのライブ盤インフォ
http://www.doubtmusic.com/new.html