どうにかこうにか51歳

otomojamjam2010-08-07

自分が20歳だった頃、50歳をすぎた自分の姿も、50歳のときにどういうことをやってるかも、まったく想像できなかった。というか想像することもなかった。
フリージャズをやってる人は早死が多かったし、とにかく人生は長いという想像ができなかったんだと思う。
オレが高柳さんのところにかよいだしたのは20歳のころで、そのとき高柳さんは49歳だったはずだ。そしてボーヤ(アシスタント)として、年中高柳さんと行動をともしていた数年間、高柳さんはちょうと今のオレの年齢だったということになる。意外に思われるかもしれないが、その数年間は強烈に楽しい時間でもあった。
しかしである。それだけでもなかったのは、いつか自分の問題として再考するとして、オレが生徒をとったり、ボーヤをお願いしたり・・・ということが潔く出来ないのは、このときの高柳さんとの様々な経験がよくも悪くも作用してるからだと思うが、そのくらいオレにとっては強烈な体験でもあったのだ。あの数年間で人生が大きく変わってしまったのは間違いないし、いまだにその延長線上でどうにか生きている。



「石版!」というブログに、ほとんど注目されることなく発売になったザイ・クーニンとの共演盤のことがでていて非常にうれしい。このブログ方がどなたか私は残念ながら知らないのですが、わたしの記憶に間違いなければ、かつてわたしと音遊びの会の共演盤のことと、ユリイカ大友特集についてどの評論家も指摘してないようなことを明確かつ的確に書いてくれた方ではないだろうか。いったい何者なんだろう。単なるブロガーには思えない。いつか会って話をしてみたい。
http://d.hatena.ne.jp/Geheimagent/20100806/p1



ブログといえば、石橋正二郎さんのブログ。この人のブログはいつも本当に面白い。
「私達」というタイトルのこの文章。
http://fmn.main.jp/wp/?p=2388

これもわたしの仕事に関わる厳しくも深い文章。
それはわたしが、日本のフリージャズというものに大きな敬意をはらっていると同時に、一方でそこへの大きな違和感や反発から自分の音楽をスタートさせたとことにも関係している。
フォークについては少々違うスタンス。わたし自身は実はフォークというものをそれほど通過したわけではない。正確には通過どころか違和感のほうが大きすぎて非常に反発を感じ、ほぼ通らずに来ていた。むしろフォークというものに注意深くなったのは最近のことだ。それは確かに時間経過とともに、単なる反発ではなく、上の世代がやってきたことを理解したい・・・という気持ちが芽生えてきたこととも関係している。とはいえ、石橋さんが書いていた「私達の望むものは」を、自分のサントラで取り上げていながら、わたしもこの歌詞は好きではない。そもそもわたしの実感としても顔の見えない「私達」などということばは成立しないと思っているからだ。いったい誰を含めて私達といっているのか。
しかしである。
大森監督から映画でこの曲を使いたいといわれたときに、迷った挙句使うことにしたのは、あのどこまでも暗い映画の中で最後に阿部芙蓉美さんのノンリバーブの生々しい声でこの歌が出てくることで言葉の意味がどう変質するかに賭けたかったからだ。実際には今の人たちにあの歌はどう響いたのだろうか。



一昨年からやっていた水谷浩章芳垣安洋とのトリオの初録音をした。ジム・オルークSachiko Mにも入ってもらっている。自分で言うのもなんだけど、ものすごい録音になってると思う。ここでは、はっきりとフリージャスをやってる。それも今現在の方法で。
ONJQONJOと続いたジャズのプロジェクト、自分の中ではONJOはENSEMBLESやDouble Orchestraへと受け継がれているが、その一方でONJOがどんどん拡大していく中でやり残したこともあって、それをこの新しいトリオでやれればと思っている。
レコーディング後の初ライブは8月11日新宿PITINN。
メンバーは録音と同じく大友良英(g) 水谷浩章(b)、芳垣安洋(ds)にゲストでジム・オルーク(シンセ)、Sachiko M(サインウェイヴ)。この日もライブ録音をする予定。バンドの名前はこの日を機に「OTOMO YOSHIHIDE NEW JAZZ TRIO +」で行こうと思ってる。


その前日、8月10日は高円寺ショーボートでJOJO広重山本精一大友良英のセットを。京都で先月やったライブも素晴らしかった。これも今現在のノイズ。こちらもライブ録音を考えている。



あれから四半世紀、どうにかここまで歩いてきてますよ。






写真はココロの友「クレイジーキャッツグラフティ」
誕生日のお祝いやメッセージ、ありがとうございました。
健康に気をつけてがんばりま〜す。