アンサンブルズ展 1月16日までで〜す!

otomojamjam2011-01-04

水戸芸術館の正月休みも終わり、「アンサンブルズ2010ー共振」展本日から再開です。最終日の1月16日に向けてもう11日間しか体験出来る日はありません!(1月11日[火])は休館日)
何の解説もなく聴いて体験してほしいという思いで、これまで本展に関してあまり言葉を発してきませんでしたが、おそらくは、このチャンスを逃すと、この先当分の間はこれだけの規模でアンサンブルズ展やれるチャンスは関東圏ではないかもという危惧、リアルにありますので、ブログを使って、少々つぶやかせてください。多少のネタバレも含みますが、わたしから鑑賞のヒントと、ラストに向けてあるいくつかのイベントの解説を少々。


水戸芸術館を最初にリサーチに行った時にまずは驚いたのは、異常ともいえるくらいの残響(リバーブ)音の長さでした。普通のコンサートホールではありあえないくらいの残響の長さと大きさ。なにかの音を出せばあっという間に音は飽和してしまいます。でもよくよくみていくうちに、その残響のタイプが部屋ごとにまったく異なること、そしてそれぞれの部屋の音が別の部屋に相互に干渉しあうこと等々、ここでしか体験できない面白い音響特性があることが見えてきて、それが実に面白い。さらには最初の部屋に入ると5室までが完全に洞穴のように見通せる上に部屋ごとに外光を調整できるうえに時間によって部屋の明るさがまったく変わる・・・これが今回の展示の最初のアイディアのきっかけになりました。そんなわけで各部屋ごとにこの響きと光の差を考慮して展示は作られています。


いつものわたしの展示同様、展示期間中一度として同じ瞬間はありません。ものすごく静かな時間がつづくときもあれば、騒がしい時間もあります。静かなときでも必ず何かがどこかで起こっています。1室と5室の上空に張られた十数本の10mを超える長さのワイアーがかすかにうなっていたり共振しあってるときもありますし、ピアノの弦がかすかに軋んでいたり、5室の古い真空管ラジオがノイズをたてていたり、会場中に点在する古いポーターブルターンテーブルや打楽器が小さめの音でさまざまな音を奏でています。音の出どこをおいかけようとしてもすぐに逃げてしまうかもしれません。3室のピアノを解体してつくられた11mの弦楽器のある部屋は午前中の光も素敵なら夕方から日没にかけても劇的な変化をします。ほかにもわたしの脳内のような中崎透の力作7室や矢口克信の手による傑作外の噴水のオブジェ、4室にある五嶋英門の手による400台のCDプレーヤーの作品等々見所多数です。
そんなわけで、どうかゆっくりした時間の流れのなかで、じっくり展示を聴いてあげてください。
どこで聴くのも自由、好きな場所に座ったりねっころがったりしながら、コンサートを聴くように聴いてくれてもいいし、ゆっくり移動しながら聴いてくれてもかまいません。ただ最低でも1時間半とか2時間、出来ることなら半日滞在してくれないと、見えてこないこと、聴こえてこないことが多いかもしれません。なにより単に見るものではなく、音楽をこちらから提供するものでもなく、会場に来てくださった方が自分の力で自由に音楽を発見することができるような展示・・・そんな風に考えてつくりました。
残るところ11日、ぜひぜひゆっくり展示に接してあげてください。

ほかにも水戸芸術館周辺に関連展示ありますので詳細はここを
http://bit.ly/ck0NBi


実際にどういうシステムで動いているかは1月15日発売の雑誌「サウンド&レコーディング」に詳細が出る予定です。多くのシステムは堀尾寛太、毛利悠子、YCAM伊藤隆之、三原総一郎の手によるものです。このへんについてはまた後日書きます。




さて展示期間中のイベントものこり3本。こちらもすごいことになりますよ。

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まずは今回のアンサンブルズのピークになるであろう最大のイベント「ダブル・オーケストラ」+「音遊びの会」のダブルギグが今度の連休中日の1月9日にあります。
なんとあの小澤さんが指揮をする予定であったクラシックの殿堂水戸芸術館コンサートホールATMで行われます。
「ダブル・オーケストラ」は二人の指揮者が率いる100名近い一般参加のメンバーによる二つのオーケストラが、ひとつの舞台で即興演奏する特殊コンサートです。指揮者同士のせめぎあい、指揮者と演奏者との崩壊しまくる応酬など、混乱する指揮系統ステージの中で、複数のオーケストラが共振、干渉しあい予期せに音楽が奏でられます。
わたくしもメンバーの一人である「音遊びの会」は、 神戸のグループで2005年より音楽家知的障害者で即興演奏の舞台活動を各地で行ってきました。そもそもここ数年のわたしの作品の多くのアイディアは含め彼ら彼女らとの共演から生まれています。そもそもアンサンブルズ展のアイディアもここから生まれた・・・という経緯は拙書「大友良英/MUSICS(岩波書店)」に詳しく出ております。
なにぶん50名を超える神戸のグループです。こちらに出てくることはめったにありません。おまけに今回はゲストの坂田明さんやあふりらんぽピカチュウもゲスト参加します。さらに出来ることなら、うまくいけばラストにはダブルオーケストラに音遊びの会も乱入できればと思っております。こんな機会はこの先絶対にないでしょう。
日中は展示を見て夜はコンサートを見てなおかつ東京横浜まで日帰りできます。
どうかお見逃しなく!


二つの特殊コンサート
『音遊びの会』& 『ダブル・オーケストラ』
日時:2011年1月9日(日)18:30開場 19:00開演
会場:水戸芸術館コンサートホールATM
出演:坂田明大友良英、イトケン、植村昌弘、Sachiko M、ぴかちゅう、音遊びの会、
   一般応募者のみなさま
料金:前売2000円、当日2500円 [全席自由] 11/30(火)発売開始
※小学生まで無料
※中・高生前売1000円、当日1250円(ご購入の際、学生証の提示をお願いします)

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次は昨年わたしの体調不良で延期になっていた長靴即興演奏会/大友良英 vs 矢口克信を1月15日(土) 16:46〜ごろより行います。なんで長靴なのかというと、会場が水戸芸術館の噴水のところ(写真参照。今回参加の美術家矢口克信の手による見事なタンテやラジオのオブジェが展示してあるあの池の中に入って、矢口くんとともに演奏します。どう考えても寒いのでたぶん30分くらいしか演奏できないと思いますが、そのかわり入場はもちろん無料。展示を見に来たついでにぜひぜひ。


そして翌日の16日、展示のクロージング後のラスト1時間、展示会場内の各所でPAを使わずに、5人のミュージシャンたちが展示の音とともに即興演奏を行います。オープニングフェスの喧騒とは対照的に、おそらくはレクイエム的なライブになると思います。
こちら前日から泊りがけで展示ともども見てもらえれば幸いです。


『アンサンブルズ2010 クロージング・ライブ』
日時:2011年1月16日(日) 18:30開場 19:00開演
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
出演:大友良英Sachiko M石川高吉田アミ、堀尾寛太
料金:前売1500円、当日2000円  11/30(火)発売開始



■チケット取扱
水戸芸術館エントランスホール内チケットカウンター
チケット予約センター Tel.029-231-8000(9:30〜18:00・月曜休館)

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大友良英「アンサンブルズ2010ー共振」展
会 期:2010年11月30日(火)〜2011年1月16日(日)
(1月11日は休館日なので要注意)
開館時間: 9:30〜18:00 *入場は17:30まで
主会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
参加者:大友良英(音楽家)、菊地宏(建築家)、
     堀尾寛太(展示/パフォーマンス/電子デバイス)、青山泰知(美術家)、
     中崎透(美術家)、矢口克信(美術家)、五嶋英門(美術家)、
     毛利悠子(美術家)、近藤祥昭(サウンド・エンジニア)
     高田政義(照明デザイナー
主 催:財団法人水戸市芸術振興財団、MeToo推進室
http://bit.ly/ck0NBi
http://www.arttowermito.or.jp/art/modules/tinyd0/index.php?id=14