ワルシャワのフィラメント

otomojamjam2005-05-23

朝9時グダニスクを出てワルシャワのホテルに3時に到着。
途中ワルシャワ駅のエレベーターの下に皆で重い荷物を持って到着すると、エレベーターの上方で、足と目が不自由と思えるお婆さんが転倒、すぐ下にいる老人達を巻き込んで大変なことに、このままだと危ない・・・と、思った瞬間、われ等が男チーム全員が猛ダッシュでエレベーターを駆け上がり、お婆さんや散乱する荷物を救出。われ等が男子チーム芳垣安洋水谷浩章津上研太、アルフレッド・ハルト、大友良英の総勢5名、普段は音楽のほうはともかく人間としてはかなり「?」だったりすることもあるのですが(あ、これは無論オレも含め・・・というかオレが一番ひどい、もう車に椅子は投げつけませんから・・・)こういう時の行動を見てると、もうなかなかやるじゃん、太陽にほえろジーパン刑事みたいじゃん(例え古すぎ 苦笑)と思ってしまいました。
ちなみにこれだけ何度も長くツアーをしていると男子の音楽以外の場での役割分担というのが自然に出てきたりして、例えば水谷は列車に乗るときの荷物担当で、どんなに酔っ払っていても手際よく、荷物を棚に積み上げて鍵をかけて盗難できないようにするのですが、その手つきたるや蕎麦打ち名人の仕事を見ているような鮮やかさ。芳垣はというと、今度は車に荷物を積む名人で、これは無理だろうというバンの荷台にも、まるでジグゾーパズル名人の手さばきのようにパッパと荷物を積み上げてしまうのです。さすが元関学理系の優等生。研太はというと、これがどこにいっても、言葉が通じないところでもあっというまに友人を作って現地情報や僕等のほしいぶつを仕入れてしまう名人。


おっと雑談はさておき、今日は日本食屋。味はまあOKってかんじでしたが、それでも充分一息つけました。
で、夜は駅前の古い巨大な建物(とはいえ、ここは大戦で街が崩壊しているので、そのあとにそっくりに復刻した建物)の文化センターの1室の天井のとても高いクラブでFilamentのライブ。爆音に向いているPAシステムだったので、今日は強力な爆音のFilament。よく「音響=小さい音」みたいに思っている人いると思うんですが、わたしもSachiko Mも,極端な弱音もやれば大音量もやるし、ほとんど無音のときもあれば、常に音がなっている状態のときもあるしで、決して○○=××みたいな考え方では音楽をやっていない。とくにFilamentは場所やシチュエーションに左右される音楽なので、会場やPAによってその姿はまったく変わる。CDだと音量がわかりにくいけど、たとえばBOXセットの中の「ヘルシンキ」はものすごい爆音で演奏されたものだ。逆にスタジオ録音の5枚目は、もともとはこういう音量・・・という設定がそもそもない。どんな音量なのかは作った僕等にもわからない。
わたし自身はこのFilamentでやっていることとONJEONJOでやっていることの間に、大きな差はないのではと思っている。無論ストラクチャーも音像も作り方も楽器もまったく異なるし、演奏することへの態度も異なるのだけど、どこかで同じものであるとも思っていて、この差異を差異のまま維持しつつ、もっと距離を縮められないものかとかなり漠然と考えている。正直それがなんなのかは今は全然わからない。なんでそう思うのかもよくわからない。ただそういう方向なんだろうなというアンテナが動いていて、だから高良久美子Sachiko M,カヒミ・カリィの存在がバンドに必要に思ったような気もするし 石川高大蔵雅彦宇波拓といった人たちともっともっと関わりたいなと思っている。いつも次に動き出すときは、なんだかわからないけど面白いような気のする方向に行くしか手はない。ONJEのツアーの中でFilamentをやったおかげで、なにかひとつ見えてきたような、そんな一夜だった。企画してくれたミーハオくん、ありがとう。


明日はワルシャワの野外の会場でONJE