Without Records 今日から京都で仕込み

otomojamjam2005-07-05

京都の四条烏丸にあるアートギャラリーShin-biで7月8日から8月7日まで行われるサウンドインスタレーション「without records」展示のための準備で、今日から日曜日まで京都に。今から8年前に神戸でやった「摩滅する記憶」というインスタレーション以来、こういった作品をつくるのは2度目。あのときは音が中心で、展示のほうはHACOさんにまかせていたので、展示そのものにまで自分で関わる・・・という意味では、今回がはじめて。
今回は、いつもこのJAMJAM日記にアップしている古いポータブルプレイヤーの中から見た目と音のユニークな20台を厳選して、1ヶ月間、ターンテーブルの自動演奏をします。とはいえタイトルが示すとおり、レコード盤は一切つかいません。ターンテーブル自体が発する微細なノイズや、けたたましいフィードバックを使っての展示です。今回使われるいずれのターンテーブルも昭和30年代から50年代の間につくられたもので、どんなに状態が良いものでも、モーターが軋む音がしたり、ノイズがジーーーっとでたり、フィードバックしやすくなっていたりと、なんらかの傷、痛み、摩滅、故障が発生していて、それぞれが、独特の豊かなノイズを奏でてくれます。
今日はCOCON烏丸の3階にある会場でさっそくターンテーブルのチェック。今回は、京都在住電子工学の天才吉田くん(24歳)に手伝ってもらって、さらにこのノイズに磨きをかけつつ、独自の回路をつくってもらい、ターンテーブルの自動演奏システムをコンピュータで構築してもらいます。吉田くんとは今日はじめて会ったのですが、もう、その独特の雰囲気といくらでも出てくるアイディア・・・いっしょにいるだけで面白いです、この人。スパイ大作戦とか、サンダーバードとか、ゴルゴとかに出てくる電機の職人みたいな人で、う〜〜〜んかっこええ。オレ、本当は子供の頃はああいう人になりたかったんですよね〜。
明日からは本格的にインスタレーションを組んでいきます。


で、オープニングの日には展示しているターンテーブルと、いつも使っているターンテーブルの両方をつかってソロをやります。非常に微弱な音から、轟音まで、アナログ独特の、カートリッジとモーターそれにフィードバックが奏でる世界です。ぜひぜひいらしてください。7月9日 7時から、詳細は下につけますがShin-biのページをご覧ください。


で、で、さらに、この日のライブ録音と、展示のターンテーブルの音を納めた限定のアナログ盤をつくります。とはいえ美術展ですから、それをただレコードショップで売るわけではありません。限定わずか20枚のみプレスして、今回展示のプレーヤーとともに販売します。展示自体は「without record」ですが、販売される作品にはアナログのレコードがついて、でもそこにはいっている音はレコードを使ってない「without record」の音・・・という趣向です。販売価格はまだ未定。アナログのカッティング費用だけでも結構な金額になるので、安くはありませんが、法外な値段にはしませんのでご安心を。オープニングまでには
決定して発表します。


そんなわけで、毎日、ここで制作日記をアップしていきますので、よろしく〜。

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7月8日(金)〜8月7日(日)京都、COCON烏丸3階「Shin-biギャラリー」http://dp52062035.lolipop.jp/modules/wordpress3/index.php?p=11
大友良英「without records」サウンドインスタレーション 入場無料
聴くことの可能性と創造に取り組んできた音楽家大友良英による初の本格的個展。作者自身の手により集められた様々な年代・会社・型式のポータブル・プレ ーヤーによるサウンドインスタレーション。「without records」というタイトルが示すように、レコードは使わずに複数のターンテーブルが持つ音そのものに焦点をあてる。



7月9日(土)京都、COCON烏丸3階「Shin-biギャラリー」午後7時
大友良英ターンテーブル・ソロ for recording 予約:1,800円、当日:2,000円
ターンテーブルのみを使ったソロ。今回のライヴはレコーディングをおこない、インスタレーション期間中に販売。



8月6日(土)京都、COCON烏丸3階「Shin-biギャラリー」午後7時〜9時
『感覚を拡げる(shin-biシリーズ・ワークショップ)〜鼎談:ノイズという方法〜』
講師:大友良英佐々木敦Sachiko M  2,000円

POST NOISE、POST JAZZシーンの中心として取り上げられる大友良英と、テクノイズという概念を提示し大友やSachiko Mなどについて整理を試みた佐々木敦に加えて、現代美術の視点からも語られることの多くなったSachiko Mの3名によるノイズを切り口にした音と文化にまつわる鼎談。


8月7日(日)京都、COCON烏丸3階「Shin-biギャラリー」午後7時開演
フィラメント:Sachiko M大友良英 予約:1,800円、当日:2000