モスクワ→バーデンバーデン

otomojamjam2005-10-09

8日はモスクワのスペース「DOM」でコンサート。出演はSachiko Mと私。かつてこのスペースの立ち上げに尽力し私をたびたび招聘したニコラス・ドミトエフの追悼フェスが毎日ここでおこなわれている。何年かぶりで会う彼の娘さんはもう17歳。まえに会ったときはまだ8つか9つの子供だったのに、いまは彼氏と一緒に見にきて、コンサートの感想を英語で言うまでに成長。こっちがもたもたしている間に子供はどんどん成長しやがる。そいうえば、先日Tokieさんとやったライブを見に来ていた若いドラムの娘が、なんとオレが大学時代に一緒に演奏していた同級生の娘さんだったって話、この日記に書いたかな? あ〜もう、髪の毛だけじゃなくて頭の中身ほうもやばくなってきてるね、どうも。
別の日に出演するデビッド・モスやシェーリー・ハーシュとも会場で久々の再開。デビッドは少し痩せた上に髭をそり落として、一瞬だれだかわからず。ベルリンのスペース、アウスランドのブッキングもやっていたサックス奏者のグレゴーが、彼女と一緒に突然現れてびっくり。なぜかモスクワに移住して3ヶ月目になるらしい。
会場には驚くくらい沢山の人がきていて、しかも結構な数の若者が僕等のCDをすでに持っている。数年ぶりのモスクワはなんだかかつてとは別世界だ。持ってったCDも開演前に全て売り切れてしまった。
コンサートのほうも、多分すごくいい内容だったと思う。ただ、何人ものカメラマン達がでかいシャッター音を立てながら、延々とノンストップで写真を撮り続けているのに腹をたてて、手元にあったピックのケースを彼等に投げつけてしまった以外は。最初のステージは我慢したけど、こちらが注意したあとの2セット目の2曲目になっても、まったくシャッター音がおさまる気配がないってのは異例の事態だ。それもたまにパシャじゃなくて、延々とずっと、何人ものカメラマンが音を出し続けている。この世にそこまでして写真に残しておかなければいけないもんなんてないだろが。ひとがせっかくニコラスの為に、いろいろ用意してきた音楽をココロをこめて演奏しているんだからさあ。しかも、それを多くの人たちが静かに聴いているんだから、そのくらい気をきかせろよ。

まあいいや、ここで怒っても、多分ネットでこれを訳して読んでいるような人は、最初からそんなことをしない人たちだから、あのアホな奴等にはどうせ伝わらないもんなあ。

ところで、90年代のロシアは決して気分のいいところではなかった。街に出れば2重経済で、ドルさえあればなんでも買えるのに、ルーブルだと何も出来ないし、そもそも日々の暮らしも大変な感じだったのだけれど、今回行ったモスクワの印象はずいぶん違っていた。町は巨大なパチンコ屋のようなネオンで席巻されていて、経済的には10年前のカオスのような状態からはだいぶ脱したようにも見える。わずか2泊いただけなんで、確たることはなにもいえないけど、まえほどここにいて「辛いな」って印象はうけなかった。ロシアに住む人にとってそれがどういう変化なのかはわからないけれどね。

ちなみに、ロシアは食べ物が美味しい国でもある。赤カブのスープのボルシチや、水餃子とそっくりなぺリメニがわたしのお気に入り。みなさんももしロシアに行く機会があったらぜひお試しあれ。ボルシチは日本で想像するシチューのようなモノとは全然別のもの。


で、今日9日はモスクワから飛行機でフランクフルトに飛び、さらにそこからお迎えの車でドイツの有名な温泉町のバーデンバーデンへ。
といっても遊びにきたわけではありません。ここにある国営ラジオ局のスタジオにつめて、ベルリンのトランペッターアクセル・ドーナー、ウィーンのドラマーでラディアンのメンバーでもあるマーティン・ブランドルマイヤー、それにSachiko Mとわたしの4人でユニットを組んで、3日間のリハーサルと録音ののち、ドナウエッシンゲンの現代音楽祭にでることになっているのだ。とりあえず、今日はかるくサウンドチェックののちホテルにチェックイン(かなりの高級ホテル)、でもって、ちかくのレストランで皆で深夜の夕食。南ドイツは北と異なり、結構飯がうまい。おまけに毎日のメシ代がでるところなんざ、さすが由緒ある現代音楽際。たまにはオレ達みたいにアカデミックとも、メジャーともまったく無縁なところでやってるミュージシャンもいい思いをしないとね。