神戸の知的障害児たちとのワークショップ その2

otomojamjam2006-01-23

実際は先週参加できなかったので、ワークショップそのものは今回が3回目。
正直いって、ここに来るのがとっても楽しみになってきている。これ、オレにとってはすごい変化。だって最初は不安だらけだったのも。


最初に見学に来たのが昨年の9月。とんでもないもの引き受けてしまったと後悔した。見学しているだけでも、どうしていいかわからない。知的障害児と呼ばれる彼等、彼女等とどう接していいのかもわからないし、彼等が何を考えているのかもわかりにくかった。だから当時の日記には多分ずいぶんネガティブなことも書いたんじゃないかな。
前にも書いたけど、ココロがぐらっと動いたのは、音楽のことなんかじゃなくて、参加している年長のNくんから
「今度一緒に踊ろうよ」
と言われたとき。11月のこと。人間なんて単純なもんだ。以来Nくんと会うときは、まるでストリートのキッズがやってるみたいに指を2本差し出して、拳骨をこつんとぶつけ合って「よっ」なんてやってる。実際のストリートキッズの挨拶のことはしらないけど、でもそんな気分で「よっ」。
実際一人一人の名前や顔を覚えると、見える世界がまったく違ってくる。「知的障害児たち」じゃなくて、Nくんだったり、Yちゃんだったり。みんなとても個性的なのは先日のPITINN40周年の楽屋と一緒。
参加の親御さんのブログから無断で申し訳ないけど、ちょいと引用させてもらう。昨日のワークショップの一場面だ。

                                            • -

子供たちはほんとに素直だ。
参加している、ある女の子が大友良英さんの『手の毛の濃さ』にハマっていた。
「すごいね〜毛、いっぱいだねぇ〜♪」
と大友さんの手をさわっているのを見て ウピャピャピャー・・・と横でのん気に笑っていた私。

事態はその後、急展開した。

大友さん 「でも頭の毛は少ないんだよ」
○ちゃん 「どれどれ・・・ほんとだ。これ、あかんよ」

・・・・・・・・・・・・。
えっ?・・・・・Σ( ̄⊥ ̄lll)・・・・・
どうするよ?この空気・・・・・。
( ̄ェ ̄;) 私、なんでこんな微妙なところに立ってるんだろう。
いまさらどっかに行くのも かえっておかしいじゃないか。
でも私が今ここで一緒になって笑ってもいいものか?いいものか?

                                              • -

あはは・・・・すいません、無断引用しておいて笑ってしまって。あんまりにも可笑しかったもので。
この話は事実。
毛が薄いのも事実なら(46なんだから毛くらい薄くなるって・・・これ読んで笑ってる男の子も今に思い知るのだ)、手が人よりだいぶ毛深いのも事実で、でもって、このやりとりも事実。子供とこんな調子で楽しくやれるようになるなんて当初は思ってもいなかったんで、オレとしては、オレとは多分違うルールで生きている友達が、このワークショップで沢山出来ただけでもまずはOKなのだ。


今回のワークショップでは、オレは、まずはみんなの音を聴いているんだってことをなるべく示そうとしたけど、伝わったかな・・・ま、あんま自信がないや。


ワークショップの内容のほうは、地元関西の林加奈、森本アリ、江崎将史のゲストミュージシャンや、ワークショップスタッフ達が、毎回長時間のミーティングをしながら、いろいろ努力していて、子供達も、いつのまにか、ものすごく和んでいて、いい感じになってきてることは事実。実は、ここに至るまでも、方針ややり方をめぐり、もう喧嘩にちかいような喧々諤々のやりとりがスタッフやミュージシャンの間であったんだけど(オレもまじで切れたりしてたもん 大人げない 笑)、でも、そんなこともきっとよかったのかもしれない。なんというか、全体がひとつのバンドのような雰囲気になってきている。何より成長してるのはスタッフじゃないかなあ。めちゃくちゃ頼もしい。シャープな意見がどんどん出てくる。
参加者の子供達が書いてきた絵も見せてもらったんだけど、CDのジャケに使いたいくらいの作品もあって、ちょっとびっくりするくらいいい。みんな音出すの楽しい〜〜〜って雰囲気までは出来てるんだよなあ。
あ、そうそう、実は2回目からは、親御さんに会場から出て行ってもらって、子供と音楽家だけでやることにした。このほうが子供がのびのびするのは、オレ自身がガキのころ父兄参観日が最悪だったこと考えれば良くわかる。実はこの案は、親御さん自身から出たもの。みな、半端じゃないくらい苦労をしてきてもいるから、出てくる意見もなかなか含蓄に富んでいる。まあ、それでも子供たちは、なかなか言うことを聞いてくれないのだけど、でも、音楽に集中する時間はこれで、かなり増えたように思う。ステージに出ることを考えなければ、これでももう充分なくらい。
でも、音楽のほうは、もっといけると思うんだけどなあ。もう少しだけ、オレとしては欲張りたい。3月5日のジーベックホールでの発表会まであと1ヵ月半。どこまでやれるかな。個人的には、やつ等と楽しく音をだせて、スタッフとも楽しく音楽をやれて、でもって来てくれたお客さんのいくばくかが、音楽の原石みたいなものを楽しんでくれれば、まあいいかな・・・くらいに目標を置くことにした。ほかのスタッフのみんながどう思っているかわからないけど。オレとしては当初よりハードル、だいぶ低くした感じだけど、でも、ハードルの高い低いがこの場合は問題じゃない。問題は、それでもハードルがあって、僕等はそれをなんとかして、みんなで飛ばなくては、ステージには出れないだろうってことのほうだ。
でも、これはきっと出来る。