ONJO PITINN 2DAYS 超満員御礼

otomojamjam2006-02-10

PITINNにお越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。スタッフやメンバー、ゲストのみなさん、お疲れ様!
2日目入れなかった皆さん、ごめんなさい。ぎゅぎゅうで貧血になりそうになったみなさんも、ごめんなさい。次回の東京は多分9月くらいになるとおもうけど、オール椅子席の会場を考えます。


PITINNの2日間が始まる前、日記で、今が最初のピークだから録音をしておきたい・・・って書き方をしてしまいましたが、それはある意味正しく、でもある意味間違いでした。
正しいというのは、確かに今までに無いくらい非常にいい状態にあって、ライブ録音のチャンスとしてはまちがってないぞ・・・という意味。
で、間違いというのは、ピークという言い方をしてしまったこと。これじゃまるで、ある目標、登山で言うと、それこそピーク(山頂)があって、そこに到達したみたいな意味になっちゃうじゃん・・・みたいな意味で間違い。
そもそもこのオーケストラは、たとえばある目標のような完成形を目指して皆が精進しているみたいなものではないわけで、だから、こうなったらピークみたいな目標値があるわけではないのです。たとえば細部にわたってある曲を完全に仕上げるとか、そんな目標はオレの中には最初からまったくなくて、だいたい、なにかがこれで完璧になるとか、完成する・・・みたいな考え方が、オレにはよく分からないいのです。なにか完成した形をつくるために音楽作ってるわけじゃないしなあ、オレ・・・って、つくづく思います。じゃ、どういうことかって言えば、素朴にいって、まだ聴いたこともないようなもの、自分の知らないものを現場でちゃんと見たい、聴きたいんです。レコードやCDで聴いて知ってるみたいな、そんな頭でっかちな体験の話じゃなくて、オレが本当に好きで興味があるのは、現場で、実際に何人もの人間達がああでもない、こうでもないと意見を出し合いながら、なにかを生んでいくような、ダイナミックな状態・・・ライブをやるってのは、もうこれ以外に理由なんってないって断言してもいいくらい。みながばらばらのことを考えていながら、でも、一緒に作業が出来て、でもって、ある瞬間にすれ違うように思惑がクロスして化学変化みたいに音楽が生き物になっていくみたいな、そんなダイナミズムみたいなものがあればいいかなとオレは思っているのです。だから正解があるわけではなく、こういう音の形、みたいな目標があるわけではなくて、やはりそこは永遠にプロセスのままというか、そもそも音楽ってのは、そういうプロセスそのもなんじゃないかとオレは思うわけです。だからこのバンドの状態がいい、今が最初のピークと言ってしまった意味は、このプロセスが非常に活気あるもになっている、こんな凄い状態はいままでにないぞ・・・って意味なんです。
オーケストラの場合、たとえばクラシックのように、あるいはベイシーのように全員が同じ方向を向いてガツッていくような音楽の面白さもあると思うのですが、そういうやり方ではなく、例えるなら共通の言葉もなくて、基本的なルールもいまいち保障されいるようないないような複合民族の大都市のような環境の中で、それでも何人もの人たちが集団を形成して納得のいく方法で生きていくためのサバイバル方法みたいな・・・あ〜〜なんか書いていて全然意味わかんねえや。ってか、稚拙な言葉だなあもう、こんな例えどうでもいいや。
実際に作っている最中というのは、言葉になるようなロジックだけでは考えていないので、こうやって書くとガタガタ(苦笑。 
たとえばリハのとき、こんなこと言ってるわけじゃなくて、もっと音楽的な具体的な事しか言わない。そこもう少し音量おさえてとか、そこはだれだれは休んで・・・とか。んなわけで、そういった言葉になるようなことは、きっといろんな人が思い思いにブログなんかに書いてくれると思うので、そういうのをオレはこっそり見て「ふむふむ」とか「え? そんな風に聴こえてるんだ!」とか思いながら楽しむことにして、オレのほうは、現場で起こる言葉にはならないような(とてもここには書けないような)活気あふれる状況(もうステージ上でも、ステージの外でも、本当に面白いことが沢山おこっているのです)の中でいいライブをやるために全力をつくすのみ。ま、それだけで、いつもいっぱいいっぱいってのが正直なところ。この2日間、とにかく走りきったかんじ。肉体も頭脳もへとへと。録音もライブもそうだけど、この現場の面白さを一度体験しちゃうと、もう堅気の暮らしになんか戻れない。



この2日間、メンバーのみんなも、ゲストのイトケンやストリングアンサンブルもみなさんも、本当に、オレの期待なんかはるかに上回るいい演奏をしてくれました。ほんと、みんなすげえや。
この勢いなら明日、明後日の名古屋、京都は、さらに連日まったく違うステージになるはず。なにしろ東京の2日間でも、同じ曲でさえ、またく違うことが起こるのだから。ライブ盤を作る際には、いったいどの日のどの演奏にすればよいかで、ものすごく迷うことになるんじゃなかろうか。すでに東京の2日間で合計5時間以上、どれも捨て難い演奏が収録されているはず。


名古屋、京都の公演もどうかお楽しみに。




<名古屋 NAGOYA>
2月11日(土) @得三(Tokuzo)  tel. 052-733-3709
  http://www.tokuzo.com/   チケット完売しました。当日券の予定もありません。


<京都 KYOTO>
2月12日(日)BS SPECIAL "ONJO" @同志社大学 寒梅館ハーディーホール
http://www.doshisha.ac.jp/information/facility/kanbai/riyou/hardy.php 
出演:  ONJO (スペシャルゲスト 江崎将史 tp)
     オープニング POPO(江崎将史 trumpet + 山本信記 trumpet + 喜多村朋太 organ)
17:30 open/18:00 start  料金:予約 ¥3,000/当日 ¥3,500
予約受付:one-g-turn@leto.eonet.ne.jpまで、 お名前、電話番 号、枚数をお知らせ下さい
主催:one good turn office(BS = P-hour)
    http://homepage.mac.com/ujin/phour/







追伸  そうそう、たしか7日か8日の朝日新聞の夕刊の文化欄に、湯浅学さんが、わたしも出演した先月のデレク・ベイリーの追悼公演のことを書いています。湯浅さんらしい素敵な文章です。
ONJOの「OUT TO LUNCH」のほうは先月のニューヨークタイムスの文化欄、それから今出ているイギリスの音楽誌ワイアーにレビューがでているそうです(まだ見てないので何がかいてあるかはわかりませんが)。ちなみに、どちらのメディアにもこちらからは一切サンプルCDとか資料とかは送ってないそうです。日本の有名どころのジャズの雑誌なんかに、このCDが出ていないのは、サンプルも送ってないし、広告も出していないからです。多分デレク・ベイリーの追悼公演についても、日本の多くの音楽メディアは取り上げないだろう・・・というのは容易に想像がつくところ。なんでこんなことを書いたかというと、要するに、おなじメディアでも、自分達でとりあげるべき作品をちゃんと記者や編集者自身の手で探して、自分達の責任において書く・・・というのと、サンプルで送られてきたものや、広告がでているものを取り上げることでことたりてる・・・というのとは、根本的に違うということです。せめて読む側は、そのくらいの差は見抜けるようにしたいなと。