帰国 そして今週はサントラのライブだ!

otomojamjam2006-10-09

今朝マドリードよりもどってまいりました。むこうでは現地時間7日夜に爆音のターンテーブルフィードバックソロを。ひとつの建物の中のいくつもの部屋で、いくつものライブが同時進行するスタイル。オレのソロの会場はスタンディングで300人くらいはいたのかな。強烈に熱心な半数の客は最後までかじりついてくれて、残りの半分は10分くらい見たら、さっさと他の会場へ。最初はざわざわうるさいけど、最後はものすごい集中力の観客だけが残る感じ。こういうコンサートというかクラブスタイルのフェスはきらいじゃない。好きなやつだけ残って聴けばいい。やなら出て行けばいい。はっきりしてるわい。
他にはなんとホワイトハウスがでたかと思えば、別会場ではクリス・カトラーがソロをやっていたり、スペインのアルフレッド・コスタ・モンテロのレコードを使わない渋いターンテーブルソロやら、ひさびさにピエール・バスティエンの演奏が聴けたりの数日間。おまけに時間の結構あったんでめずらしく美術館めぐりもしたり。この世にはオレの知らないすごい作品がいっぱいある。オレの知らないひどい作品もいっぱいある。
実はソロをやっていたり、他の人の音を聴いたりしながら、あっというようなひらめきがあって、ちょっとあることを思いついてしまったんで、来年はその思い付きをどっかでやってやろう・・・なんて考えながらの観戦。うん、楽しい滞在だった。



さてさて、帰国早々、時差ぼけで寝たいところだけど、そうしてもいられず、10月12日に東京で、14日に名古屋でやる『大友良英 サウンドトラックス』の準備にかかる。散らかり放題の部屋の棚から、この十数年間にやってきた30本以上ある映画のサウンドトラックの譜面をごそごそと探し出してきて、今アレンジをしなおしているところ。
よくもまあ、こんなに沢山曲を書いたもんだと自分でもあきれるくらい、沢山譜面がでてきて、なにしろ1本の映画でも、かなりの数の譜面になるんだから、これだけやると、なんだかしっちゃかめっちゃかなのよ。

実は今回、この企画をやることになったのは、名古屋のシネマスコーレという若松孝二監督が経営している映画館のキュレートをしてる李相美さんのアイディア。シネマスコーレ以外でも、東アジアを駆け回りつつ愛知方面の映画の振興に力を入れている李さんの、名古屋での最後の仕事がこの企画なのだ。多分、中国、香港、日本と、いわゆる大手企業の力を借りずに、独自に、身軽に映画の音楽を作ってきたオレのスタンスが気にいられたのかもしれない。正確にはオノレ一人がやったことではなく、香港のプロデュサーのシュウケイや、そこで働いていた鈴木清文、当時オレのアルバムをだしてくれていたトライグラムや、香港の仲間たち、当時世話になった日活撮影所の人たち(そのうちの何人かはもうあの世の人となってしまった)、そして参加してくれたミュージシャン達があってのことだったんだけどね。オレひとりじゃ、とてもとても、こんなことにはならなかった。
あ、そうそう、あんま知られてないけど、オレが最初に映画に音を残したのは90年の若松作品「我に撃つ用意あり」なのだ。音楽は梅津和時、オレはぎゃい〜〜んとノイズギターを何場面かで弾いた。
いずれにしてもオレとしても、今回のようなこんなオファーはすごくうれしいし、自分のサントラをライブでまとめてやる機会はめったにないので、喜んで受けることにした。彼女はこの仕事を終えたら、東京に仕事の場をうつして、今度はある企業の映画プロデューサーとしてアジア各国と日本をつなぐような映画の仕事をすることになっている。


そんなわけで、90年代の中国香港映画の頃から、最近の日本映画にいたるまで、オレのサントラにさんざん付き合ってくれたメンバーの中から厳選して、なるべく多くの作品を演奏できればと思っている。13日に芸大でやる足立正生監督『幽閉者』のサントラライブの演奏をあわせて聴いてもらえれば、この十数年の私のサントラ作品の全貌とまではいかないまでも、かなりの部分を聴いてもらえると思う。
めったにやらないことなので、ぜひぜひ足を運んでいただければ幸い。


(13日の芸大のライブのほうは申し込み締め切らせてもらってます、すいません。12日のマンダラ2と14日の名古屋のほうは、まだチケットありますので早めの申し込みお勧めします)



あ、ところで今回久々に演奏する吉祥寺のマンダラ2は、80年代から90年代初頭にかけてに三上寛さんとやったり、ジョンゾーンとやったりしたオレにとっては、非常に世話になった小屋。ここで、やれるのも、オレとしてはうれしいところ。
さらにもうひとつビッグニュースで、スペシャルゲストで東京公演のみヴォーカルの原みどりさんが参加します。彼女には長崎俊一監督作品『闇打つ心臓』の挿入曲2曲と、あとはもし譜面がでてくれば(現時点で譜面行方不明中)黒沢清風の又三郎』のテーマを歌ってもらう予定。



大友良英 サウンドトラックス』
10/12(木)吉祥寺マンダラ2
http://www.mandala.gr.jp/
18:30open/19:30start ¥2800+drink

大友良英(g)
秋岡欧(バンドリン)
栗原正己(リコーダー etc.)
青木タイセイ(tb)
江藤直子(pf.key)
高良久美子(vib)
西村雄介(b)
芳垣安洋(ds)
スペシャルゲスト 原みどり(vo) 12日のみ

(12日ゲスト参加予定だった魚喃キリコさんは残念ながら都合により不参加になりました。ご了承ください。)



10/14(土)『大友良英サウンドトラックス』@名古屋・同朋大学 Doプラザ閲蔵ホール 
15:30より座談会
17:00よりライブ
メンバーは12日と同じ、入場申し込み制(無料)
http://www.doho.ac.jp/kouza/20061014.html





写真は1920年代のWE社製カーボンマイク