香港から覗く中国地下音楽シーン

otomojamjam2007-01-04

昨日の香港演藝学院(APA)での講義、なんと広東語、プロの通訳が来て行われるものでした。


今日4日は、オフとは名ばかりで、昨日APAで見たシュウケイと生徒たちの作った19分の映画に音楽をつけることになって、そのための作曲を。で、夕方からは、今回オレを香港に呼んでくれたWahが運営するレコードショップ「White NoiseRecords」へ。広さはGRID605くらいで、ここでライブパフォーマンスも時々やるらしい。



で、もって、なにに驚いたかって、ここには、世界中のアンダーグラウンドな音楽が沢山あって、日本のものも非常に充実しているのだが(杉本拓も裸のラリーズ高柳昌行あふりらんぽも、PSFにIMJ、DoubtにHibariと、まあなんでもあるわけだけど、そんあものよりなにより、もうびっくりしたのが、中国のノイズやオルタナティブ、即興、電子音ものがかなりの数おいてあるではないか。



中国ではじめて演奏したのは1994年北京でのことだった。ジョン・ローズと行った時で、このときは大きなジャズフェスで千人近い人が来ていたけど、ほとんどまったく理解されてないんじゃないかとおもったくらいの反応だった。ソロもやったし、音楽学校でレクチャーみたいなこともしたけど、ちょっと絶望的な気持ちになった。なったけど、そのときの北京の経済状況や文化状況等いろいろな様子をみていて、ここの街から10年か15年後にはノイズミュージックを演奏する若者が絶対に出てくる・・・なぜかそう確信して、どこかにそんな文章を書いたような記憶がある。


次に行ったのが1999年。このときはSachikoMと香港のディクソン・ディーと3人で広州、北京と回った。広州は、それこそものすごい数の若い聴衆でクラブはいっぱいになったけど、北京でやった2つのコンサートは惨憺たる有様で、客はいずれも一桁。オレはここには縁がないのかなと思ったくらい。でも演奏が終わった後、北京の主催者のYanJun等とともにホテルの部屋で長時間にわたって、筆談やディクソンの通訳で、ものすごく沢山のことを話したのだけは、やたら印象にのこっていて、彼等がもしかしたら、10年後に出てくるかもしれない中国の地下音楽の源泉になるのかな・・・と、うっすら思った。思ったけど、まだ道は遠そうだなと思ったりもしたのだった。


その次にいったのは2001年にONJQでチンタオへ。で、このときにいろいろ手伝ってくれた女性が、実は94年のわたしの公演をみていて、ものすごく影響を受けて、その後こういう音楽を聴くようになった・・・という話をしてくれて、なんだかくすぐったい話だったけれど、その彼女から、北京でなにかが始まっているという話を聞いて、やっぱりと思ったものだ。


そこに来て、この2〜3年、ディクソンやカルコフスキーから、北京が面白いという話をよく聞くようになり、前述のYan JunからもCDRが送られてきたりで、実は、どんな音楽が出てきているのかとっても楽しみにしていたのだ。



でもって、話は、今日の香港のホワイトノイズレコードの中国地下音楽コーナーになるわけだけど、あるわあるわ、嬉しいくらいある。Yan Junの関わったCDも沢山ある。中国名は颜峻。彼はエレクトロ二クスもやれば、ポエトリーリーディングもやってるようで、彼が詞を提供したCDまである。次々といろいろなCDを聴かせてもらったんだけど、どれもすごくいい。嬉しくておもわずCDやらCDRを沢山購入、散在してしまった。


参考までにかいておくと、まずはCDRを沢山リリースしているレーベル豆腐唱片ものが秀逸。
詳しくはここに→ http://noisetoys.yculblog.com/
コンピが多いので、この辺のシーンを知るには最適かも。


それから、へんなループ音が出るラジオを作って販売までしているFM3が面白い。
http://www.fm3.com.cn/


あとはギターの李剑鸿(Li Jianhong)がすごい。彼のブログみつけたけど、何書いてあるのかわからないけど写真が面白い。
http://www.blogcn.com/User13/lijianhong/index.html
オレは知らなかったけど、このブログみると、どうやら日本に来てライブもやってたらしい。
あ〜〜〜、オレ、情報入手遅くなったなあ。こんなことじゃいかん。そうそうたしかMarqidoさんがこの辺の企画をしていたはずだ。時間が出来たら彼から、もっと情報を聞きたいなあ。
ってか、今年は北京に行こう。行ってどんなシーンなのか、この目で見てみたいな。YanJunにも久々に会って話を聞いてみたい。


そうそうYanJun(颜峻)に関するサイトはここらあたりなのかな。
http://www.subjam.org:81/chinese/artist/ayanjun.htm
http://zhonghaus.omweb.org/modules/wakka/YanJun


ソウルといい、北京といい、10年以上前に、いつかは出てくるはずだと思っていたものが、いつのまにか、こうしてどんどん現実になっているのは、なんだか、すごく嬉しい。このままいくと、多分2010年代には、ちょうど70年代の欧州でいろいろな国のミュージシャンが国境を行き来して、様々なコラボレーションをはじめたようなことが、東アジアでも普通に起こるんじゃないかな。オレが二十代の頃に夢見た状況が、五十代にちかくなって徐々に現実のものになっていく。世の中は、特に政治の世界は最低のことだらけだけど、僕等の住んでいる清貧なる地下音楽の世界は、これでなかなか捨てたもんじゃない。



今回はじめて一緒に仕事をするホワイトノイズのWahとも、なんだかこの先長いつきあいになりそうな予感だし、昨年やったアジアンミーティングフェスの2回目やら、将来ONJOが香港や中国のツアーみたいなことももそろそろ本気で考え出してもいいころかもしれない。




さて、明日1月5日、というか、もう今日になるけど、朝からAPAで講義を。
夜は、10時半から香港Blue Door Jazz Club でギターソロ。
http://www.bluedoor.com.hk/
http://www.bluedoor.com.hk/event.htm
香港のかた、ぜひぜひいらしてくださいね。


写真はYanJun(左)等の演奏風景。
で、今日のターンテーブルのところに映っているのはFM3が作ったループラジオ。