全然いけてない中学生

otomojamjam2008-07-18

昨年出たユリイカの「昭和写真館」の中にも確か少しだけ書いたような気がするけど、オレの中学生の頃ってのは、実にいけてない、じみ〜〜〜な、おとなしい童貞くんで、まあ、なにをやってもぱっとしなかった。今じゃあんま面影がないけど、おとなしくて内気で、友達はいたけど、でも少なかったなあ。なんだか学校ってものが、とてもしんどかった。
当時は福島市に住んでたんだけど、公立なのに校則で男子は坊主にしなくてはならず、これがもう本当に嫌で嫌で、死にたいくらい嫌で、悩んだ挙句人権侵害なんじゃないかと最初は担任に、最後は校長にまで直訴したことがあったけど、先生にも同級生にもこの件、ほとんど理解してもらえなかったような気がする。めちゃ落ち込んでたときに、なぜか親だけが「お前は間違ってない」って言ってくれたのが救いだった。

だいたい今でこそギターを職業にしてるけど、中3でフォークギターを購入したときにはFが押さえられずあえなく挫折。ベースなら弦が4本だしなんとかなるかも・・・と思って手にいれたけど、これもものにならず。唯一人と違ってたのは、写真にもあるシンセのようなものを中2でつくったくらいかな。これはまあ親父が電気技師だった関係で、中学にはいったころからラジオやアンプを作ってたんで、その関係で。残念ながら現物はもう残ってなくて、写真のスケッチだけが残ってる。音楽をやりたいって、強い気持ちだけは中学生当時からあったんだけど、それは恥ずかしくてだれにもいえなかったなあ。シンセもひとりでこっそり作っただけで、誰にも見せなかったような気がする。大好きだったのはクリムゾンの『暗黒の世界』・・・って、うわ、なんて暗い14歳。

まあ、こんなこと書くと、嫌なことばっかの暗い中学生活だったと思われそうだけど、そんなこともなくて、今のこの歳になってみると、なんだかムショウに懐かしい。だいたいひとりでシンセつくったり、音楽聴いてるだけでもとても幸せだった。そのうえ友達のおでんやの2階に年中あつまって音楽聴いてたことや、そうそう、ここで、多分酔った勢いで(当時は少しだけ呑めたのだ)好きだった娘に電話して告ってふられたこともあったっけ。寿司屋んちに、寿司目当てもあって遊びにいったことや、万年筆屋の2階の部屋によくたまったこととか、別のクラスのKがめちゃくちゃギターがうまくてあこがれたこととか、風呂屋のとなりに住んでたAがのちのちオレにものすごい変わった音楽を教えてくれたこととか・・・、楽しいことはいっぱいあったのだ。みんな元気かな。

先日山口のYCAMで3週間滞在制作していたときに、連日自転車でホテルとYCAMのあいだをかよっていて、これが実に気持ちいいのよ。風をきって、空をみながらかよう3週間。地方の小都市特有の雰囲気をかもしだす山口市内を走りながら思い出したのは、中学や高校のときのことだった。あのときも自転車でこうやって通ってたのだ。あのころは、あこがれの娘とすれ違うだけでドキドキしてた。もう35年も前の話。今は女性を見ると怖くて、コソコソと逃げだすことにしてるけどね(殿山泰司風に。


その35年前の親友に、昨年再会した。オレが音楽をやってるなんて彼には想像もつかなかったようだけど、オレにしても、彼が竹の紙を作る有名な作家になってるなんて想像もつかなかった。当たり前か。お互い中学生ってのは、まだ何者にもなる前の段階で、自分が何者かになっていくのは、まあ要するに大人になっていくのは、20代とか30代以降の話だもんなあ。

なんでおよそ福島とは縁のないマルセイユでこんなことを思い出しているのかというと、この竹紙作家の同級生、菅野今竹生の個展か今京都で開かれていて、その会場で彼と対談をするからなのだ。山本精一の絵を見た人、このブログを読んでいる人には多いと思うけど、あの中には、彼の竹紙がふんだんに使われている。GRID605にもその紙が何枚か貼ってるけど、ただその紙をみてるだけでなにかが聴こえてくるような素晴らしい紙ばかりだ。興味ある人はぜひ見に行くといい。かなりリーズナブルな価格で購入もできる。
で、彼の日記によると、どうやらヤツは久々に福島に帰って、当時の同級生にも会い、対談に向けて当時の話をいろいろ仕込んできてるらしい。どんな話が飛び出すやら。対談とギターソロ、それに飲み物や軽いつまみもついているようなので、多分、とてもリラックスした、いつもとは違う感じのライブになるのではと、今から楽しみにしている。30人限定なので、興味あるかたはお早めに。あ、こういう少人数限定のライブで、予約だけしてこないと、主催者にとても迷惑をかけてしまうので、予約した人はきてくださいね。

菅野今竹生のブログ→http://konchiku.exblog.jp/

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7月24日 菅野今竹生、大友良英 「音楽夜話」アコースティックギターソロと対談
18時30分より 3000円(ドリンク&フードつき) 限定30名
ギャラリーテラ 京都市中京区寺町通二条下ル 075-257-1755 terra@terra1999.jp

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菅野今竹生作品展「黒竹と竹紙」
7月15日〜27日(月曜定休 11時〜18時 入場無料
ギャラリーテラ 京都市中京区寺町通二条下ル 075-257-1755

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写真は1974年中学の修学旅行、場所は羽田空港。上は中学のときにつくったシンセのスケッチ。下は山口で乗ってた自転車、