“超”ご無沙汰で〜〜す from オスロ

otomojamjam2008-11-18

“超”なんて書くと、ダウトの沼田順に「おっさんのくせに超、超 言うな!」と怒られそうですが・・・。



1ヶ月近く日記をあけたのはブログに移行してからは多分はじめて。その間、なにをしていたのかというと、寝ている以外のほとんどの時間は、スタジオに篭って、作曲、録音をしておりました。睡眠も平均4時間って感じで。とにかくその膨大な量の仕事をひとつひとつ丁寧にこなした一ヶ月半でした。本当にブログ書いてる時間も無かったのでした。



でもって、昨夜からオスロに来ています。これから1週間は毎日The Thingとのツアー。いつもなら連日のコンサートにうんざりするところですが、今回は、もうライブやりたくて、やりたくてうずうずしてます。しかも終わりのない録音と違って1時間半できっちりライブは終わって、あとは打ち上げて寝るだけ。タフな移動があるとはいえ、寝れる、打ち上げられる・・・ってだけでも開放された気分。
ツアーばっかしてると篭って録音したいって思うのに、録音ばっかしてるとツアーしたくなる(苦笑




さて、ブログ書いてない間はなにをしていたのか。書けることと書けないことがあるのですが、ざざっと網羅しますと。

10月上旬、アジアンミーティング・フェス・・・これはもう、ほんとうに楽しい時間でした。みな手弁当であつまってくれて・・・感謝しております。多分、ここから生れる交流も多いのではないだろうか。まずはわたしの新しいユニットFEN。来年以降も、アジアや欧州で活動しつつ、CDも作る予定。今でているサウンド&レコーディングに、期間限定で11年ぶりに「エスカリックワールド」の短期連載をしていて、ここで毎回、FENのメンバー紹介と、彼等のインタビューが出ているので、ぜひぜひ読んでやってください。アジア各都市の特殊音楽の事情がわかって、それだけでもおもしろいですよ。



あとはサントラ


前回の日記にも書いたNHKドラマ「最後の戦犯」の音楽。12月7日夜9時から放映。太平洋戦争の無名の戦犯のたどる数奇な人生を丁寧に描いた作品です。モデルは実在の人物。大きな歴史の物語ではなく、個人と戦争の問題というテーマは、今にもそのまま通じるものです。その意味では昨年やった「鬼太郎の見た玉砕-水木しげるの戦争」とおなじ通奏低音が流れている作品でもあります。サントラのほうも今までにない実験を随所でしております。いまどきのテレビドラマでは絶対にありえない音楽です。自信作。掛け値なしのすばらしいドラマです。お見逃し無く。




 これとは対照的に、戦後復興期の日本の裏側の歴史をおおきく背負った白洲次郎のドラマ化も今NHKで進行していて、これの音楽にも10月から本格的にかかっています。こちらはまだ撮影も途中で、音楽の方も、半分まで録音を終え、おそらく全ての音楽が出来上がるのは1月上旬。実は音楽の構想自体は、春からスタートしていて、そのためのバンドも密かに結成してこの作品にのぞんでいます。3回連続ドラマの予定で毎回テーマ曲を別々の歌手が担当することになっています。これもあっと驚くような人選です。
 白洲次郎といえば、とかく生き方や見た目のかっこよさのほうにばかりスポットが当たることが多いですし、実際、残されている写真や映像は、まるで役者のようにかっこいいわけですが、NHKがやる以上は単なるかっこよさにだけ焦点をあてるようなものではない、あってはならない・・・というのをスタッフミーティングで確信。一方で、今現在の日本のあり方をも問われる戦後復興期の政治の裏側が舞台なわけで、その内容は、一歩間違えると、今の憲法論議の微妙な後押しをしかねない内容でもあるわけです。そんな中で音楽にやれる役目はなんなのかを、ない頭をふりしぼってこつこつと考えながら、曲を書いております。これについては、またいずれゆっくりと。






 え〜と、それとは180度違う作品もつくってまして・・・、みうらじゅん原作、田口トモロヲ監督の「色即ぜねれ〜しょん」。5年前につくった「アイデン&ティティ」コンビの第2弾です。時は1974年、ロックにあこがれる高校生1年生を描いた青春コメディ。みうらじゅんさんの高校時代がモデルになってるわけですが、わたしもまんまリアルタイム。中に出てくる高校生の演奏する音楽から劇伴、ラストのロックンロールまで、本当に楽しく作らせてもらいました。節操無いな・・・といわれそうですが、オレには、どの作品も全部同じように重要。
この作品も6月から作曲、録音に入っていて、特に実際に劇中で演奏される音楽を作ってるときは、自分も当時に戻らねばと、時代設定の1974年に、実際に中学3年生だったオレ自身が聴いていた音楽を久々に集めて、曲が全部出来るまでの1ヶ月間は、そんな音楽ばかりを聴いてました。ちょうとYCAMの「Ensembles」展の準備とほぼ並行して、実はそんなこともやっていたのです。で、映画のほうもほぼ完成。あとは来年夏の公開に向けて、恐らく来年早々にサントラ盤の準備にはいります。これについても強力な参加メンバーも含め、あらためて書きます。





 さらにもう1本。「ジャーマン+雨」でいきなり注目された新人監督横浜聡子の劇場公開初映画「ウルトラ・ミラクル・ラブ・スートリー」。松山ケンイチ麻生久美子主演の、なんとも形容しがたい不可思議な映画です。「ジャーマン+雨」では神戸の音遊びの会の音楽が大胆に使われてましたが、今回も彼等の音を録音しに、神戸までいってました。それにプラス、ほぼ女性のメンバーを中心に映像を見ながら作曲と即興演奏の中間をいくような方法でサントラを作りました。「幽閉者」の録音の方法を生かしつつ、これも、今までのわたしのサントラ作品とは一線を画す、というか、多分今までのどんな映画とも違う不思議な音楽になってます。これについても詳細は後日。




さてさて、The Thing とのツアー初日のオスロ。そろそろ会場入りの時間です。
いってきま〜す。





写真 上からホテルから見た夜のオスロ
アジアンミーティングでのFEN(ヤンジュン、チーワイ、ハンギル、大友)+SachikoM、勝井祐二、ジン・サンテ
同じくアジアンミーティングの出演者より豪華なCD売り場
神戸の音遊びの会を率いる今や大学の先生になった沼田里衣と横浜聡子監督。ふたりは同じ年。なんでピース???