報告、募集、そしてアジアン・フェス

otomojamjam2009-10-20

まずは秋葉原、練成中学跡の「休符だらけの音楽装置」展の報告。
連日、だれかしら参加アーティストが来て、作品を更新したり、改変したり、新作を作ったりしてます。
オープン時と比べてもかなり変化してきました。とくに音は、ものすごい変化。わたしもこっそりと、梯子に耳を近づけると聴こえるブラックボックスを追加。
作品の多くが、複雑な系をたどって関連していたり、時にまったく系がつながっていないのに関連したり。
ENSEMBLES関連の作品の多くはみなそうですが、同じ瞬間は2度とありません。出来れば、1時間くらいは滞在して、ゆっくりと見たり、ぼや〜〜んと聴いたりしてください。その面白さ、凄さ・・・ちゅうか間抜けさかもしれませせんが・・・そんなもんが都市の音とともにきっと伝わると思います。


そして、7月頭の「without records」オープン時に発売予定だった本「ENSEMBLES」がやっと出来上がります。発売の遅れは、あまりの多忙にわたしが原稿をあげられなかったのが原因です。本当にごめんなさい(土下座)。
クロージング間近の練成中「休符だらけの音楽装置」展の会場で、10月26日から先行発売します(本の予約はすでに練成中で受け付けています)。オープニングに発売の予定が、やっとクロージングに間に合うという失態であありますが、でも納得いくまで粘っただけの本になってますよ。

中身は数え切れないくらいの写真や図版とともに、ほぼ書き下ろしによるYCAM「ENSEMBLES」展のセルフ・ドキュメントと、参加参加のインタビューで構成。デザイン、装丁は佐藤直樹。まずはそのデザインに注目ください。表紙を見ただけでも買いたくなると思います。編集は岩波の「MUSICS」でもお世話になった須川善行。わたしが原稿に苦しんでいるのを見かねて、手弁当で参加してくれました。発売は月曜社。定価2100円。11月4日発売。品切れになる前にぜひ購入ください。
http://urag.exblog.jp/9079005/
ついでにこんなイベントも
http://urag.exblog.jp/9112794/




募集のほうはというと、3つあります。どれもわたしのプロジェクトに参加してくれる演奏家の募集です。
といっても、プロ、アマ、まったく問いません。どれも初心者、未経験者大歓迎です。


まずは大垣で11月21日に行われる「大垣フランイング・オーケストラ」
大垣の商店街のモールの上や、ビルの屋上に、できれば200人を超える沢山のミュージシャンを集めて、巨大オーケストラによる野外演奏会を企画しています。詳細はhttp://asobow.org/?p=153
手で持ち歩ける楽器であればなんでもOKです。特に管楽器と打楽器は大歓迎。初心者でもかまいません。当日の午前中にリハをやって、本番は15時30分から16時まで。遠方の方でも日帰り可能ですので、どしどし参加してください。


もうひとつは水戸。11月8日の昼間に水戸市内で行われるアンサンブルズ・パレードの参加チームを募集しています。2人以上で、公道をパレードできるバンドであれば、どのような形態でも参加可能です。すでに街のちんどんやさん、高校のブラスバンドや舞踊サークル、サンバチーム、謎の2人組等々、10あまりのクループの参加が決定していますが、まだまだ募集してますので、われこそはというチームはぜひ参加ください。上手い下手はもちろん問いません。当日午前中にあつまってリハののち、街中を自分たちのレパートリーを演奏しながら行進、最終的には水戸芸術館になだれ込んで、全員で演奏する予定です。
http://www.artmetoo.jp/ensembles/index.html


さらにもうひとつ。同じ水戸で、同じく11月8日の夜に「PARK IS」で行われるポータブル・ギャラクシー・オーケストラのメンバーも同時に募集しています。こちらは40人限定。楽器の演奏経験は一切問いません。なんらかの方法で、音のでるものを工夫して持ってきてくれればOKです。もちろん、通常の楽器も大歓迎。(ただし、ポータブルの名前にあるとおり、あまり大掛かりなものやスペースを必要とするもの、あまりに大音量のものはNGです。)前日の7日にワークショップをやって、8日夜が本番になります。ふるってご参加ください。
http://www.artmetoo.jp/ensembles/index.html






え〜〜と
スペースがだんだんなくなってきた。
実は10月23日から25日まで東京で、30日31日名古屋で行われる、アジアン・ミーティングについてもいっぱい書きたかったんですか、読んでもらえるかな。
なにしろ、これいつも自腹切ってやってるくらい、力いれてるんです。
でも、これ以上長いと、読んでもらえないかも。やっぱなるべく手短にします。


あ、そうそうチラシや、最初の告知からだいぶメンバーが増えて、今回はシンガポール特集の様相を呈しています。とりわけ、わたしがこの数年もっとも影響を受けてきたシンガポールのアーティスト、ザイ・クーニンの本格的な紹介を出来るのが、なによりうれしい。そのくらい彼の存在は、私にとって大きいのです。
どう大きいかを知りたい人はここを。
http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/20080609
彼との喧嘩のことや、その後のいきさつが書いてありまーす。





写真はFENのメンバー 上海近郊の街にて


アジアン・ミーティング・フェスティバル 2009
ENSEMBLES 09 休符だらけの音楽装置展 特殊コンサート編


今年で3回目を迎えるアジアン・ミーティング・フェスティバル。
今回は「ESENSEMBLES 09 休符だらけの音楽装置展」の展示もかねたコンサートです。
会場中に置かれた無数のスピーカー群とともに、アジア各国から、そして日本から集まったミュージシャンたち多数が3日間にわたって特殊コンサートを繰り広げます。
詳細は日々更新していますので、随時サイトをご確認ください。


2009年10月23日(金)〜25日(日) 浅草アサヒ・アート・スクエアー
23日 18:00 open 19:00 start 21:30 close
24日 17:00 open 18:00 start 21:00 close
25日 15:00 open 16:00 start 20:00 close
事前予約:3,500円 当日:4,000円 
三日通し券:9,000円(要予約)(全自由席)
http://www.p3.org/aas/



出演: ザイ・クーニン (シンガポール)  ヤン・ジュン (北京/FEN)  ユェン・チーワイ (シンガポール/FEN) リュウ・ハンキル (ソウル/FEN) 大友良英 (FEN) DJ Sniff (アムステルダム) ヴィヴィアン・ワン (シンガポール) レズリー・ロウ (シンガポール)
山本達久 吉田アミ  ユタカワサキ  Sachiko M  山内桂  毛利悠子
やくしまるえつこ/永井聖一/真部脩一/西浦謙助 (相対性理論)
OLAibi/AYA (OOIOO)
一楽儀光 (ドラびでお)〈23日のみ〉 伊東篤宏〈23日のみ〉 山川冬樹〈23日のみ〉 石川高〈25日のみ〉
高田政義〈照明〉 近藤祥昭〈音響〉
ほか

出演日程に変更が出る可能性があります。


2005年、2008年につづき、今年もアジアン・ミーティング・フェスを開催します。
実はアジアという言葉を前に出すのには多少の躊躇があります。そんなカテゴリーすらうざったいというのが本音の部分ではあります。それでもこの名前を出してやるのは、そのことで見えてくるなにかが現実にあって、僕らはそこで見えてくることをちゃんと考えつつ物事を前に進める必要があると現時点では思っているからです。ただし、旧来の個人の顔の見えない歴史観からの発想ではなく、あるいは国境線に仕切られた現状の追認でもなく、民族的な出自といった大きすぎる物語を問題にするのでもなく、単に、音楽家同士がニュートラルな関係で共演できるような、あるいは出会えるような場がもう少し僕らの足元にあってもいいのではないかという素朴な欲求からやっていることでもあるのです。それは、国境などほとんど関係なく頻繁にいろいろな国、都市のミュージシャン達が行き来するヨーロッパの音楽シーンに、過去20年身をおいてきたわたしの偽らざる実感でもあります。

あちらにはヨーロピアン・ミュージック・フェス……などというものは(多分)ありません。そんな必要はないし、そういう問い自体が滑稽に見えるくらい、すでに普通に行き来があるからです。でも、それですら最初からあったわけではありません。60年代以降の即興シーンやオルタナティヴなシーンの中で生まれたさまざまな交流があったからこその現在でもあるのです。多分僕らのまわりでも10年もしないうちに、「アジアン・ミーティング」なんて言ってること自体、滑稽になるんじゃないかな、そうなればいいな、などと楽天的に考えています。実際、このフェスをやる中からFENというバンドが生まれ、このユニットで欧州、中国のツアーをすでに慣行しています。こういうことがどんどん起こればいいなと。
 
また今年は、例年とはまったくやり方を変えて、セッション的な出会いだけではなく、ENSEMBLES展で試みてきている空間的なアプローチを導入してのかなり特殊なライブになります。ほぼ同じメンバーで3日間連続でやっていく中で、どんな出会いがあり、どんな音楽が生まれてくるのか、どんな出来事が起こり、どんなアンサンブルが生まれ、それが将来どうなっていくのか、そんなことを考えながらの開催です。
個人的にはもっとも敬愛する、この数年でわたしがもっとも影響を受けたシンガポールの孤高の即興演奏家、即興歌手にして詩人、ダンサー、そして美術家でもあるザイ・クーニンを日本に本格的に紹介できることも大きな楽しみであります。彼が東京に来て僕らと一緒に演奏をすることだけでも、今から気持ちが高ぶっています。

大友良英

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アジアン・ミーティング・フェスティバル in 名古屋


10/30(金)31(土)名古屋Tokuzo tel:052-733-3709
     open 18:00 start 19:00 前売り3,000円 当日3,500円+ order
      http://www.tokuzo.com


両日出演 FEN(Far East Network)  
    [大友良英(g) ヤン・ジュン (electronics) リュウ・ハンキル(electronics)ユェン・チーワイ (electronics) ] 
    ザイ・クーニン (electronics)  DJ Sniff 

30日(金)
渓(g) 竜巻太郎 (drums) 古田一晴(映像)竹市学(能管)臼井康浩(g) 岡崎豊廣 (electronics)
   
31日(土)
小野良子(as)柳川芳命 (as) Craftwife 菊池行記(electronics)from billy 桑山清晴:handmade electronics