大友良英 昼夜連続8公演 いよいよはじまります

大友良英 昼夜連続8公演 年末 4DAYS
会場 新宿PITINN
12月27日(火) 28日(水) 29日(木) 30日(金)
【昼】開場15時 開演15時30分 前売\2,500 当日¥3,000
【夜】開場19時30分 開演20時 前売¥3,000 当日¥3,500
                 (全て、1ドリンク付)
問い合わせ 新宿PITINN
03-3354-2024
http://www.pit-inn.com/index.html



27日 
【昼】大友良英(G)+山本精一(G)DUO 
「ギターあなあきい伝」
【夜】カヒミ・カリィ大友良英 スペシャルセット
カヒミ・カリィ(Vo)大友良英(G)ユザーン(Tabla)
山本精一(G)Sachiko M (Sinewaves)ほか


28日 
【昼】テニスコーツ(さや&植野隆司)+大友良英+梅田哲也
【夜】スペシャル・カルテット
山下洋輔(P)坂田 明(Sax,Cl)大友良英(G)芳垣安洋(Ds)


29日
【昼】大友良英+ジムオルーク DUO
【夜】ONJT+
大友良英(G)水谷浩章(B)芳垣安洋(Ds)
熊谷和徳(Tap)Sachiko M (Sinewaves) ほか


30日 
【昼】大友良英JOJO広重 DUO
【夜】大友良英 サウンドトラックス
大友良英(G)佐藤芳明(Acco)江藤直子(P)西村雄介(b)、
芳垣安洋(Ds)七尾旅人(Vo)、タッタちゃん(Vo)
栗原正己(リコーダー)近藤達郎(ハーモニカ)
スペシャルゲスト
阿部芙蓉美(vo) 原田郁子(vo)

※ この4日間は秋に発売になった「クロニクルFUKUSHIMA」(青土社)や「プロジェクトFUKUSHIMA!」(K & B) 本の出版を記念してサイン即売行います。今年3月に水戸芸術館より発売になった「ENSEMBLES2010 Resonace」のDVDほか各種CDの即売も行いますのでお楽しみに。

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PITINNから年末の話がきて真っ先におもったのは、もうオレは好きなことしかやらないぞ〜。好きなことだけやって一生終わってやる〜。という思いだったんですが、考えてみたら、今までだったいつも好きなことしかやってないんですよね、オレ。でもなんでこんなことあらためて思ったかということを書きます。


前回のPITINN3デイズは4月。ちょっどその最終日が4月10日、高円寺で1万人デモがあったのにほとんど報道されることのなかった日でした。この国はマスメディアが機能していないということを確信しました。この日は、同じくがっかりするような都知事選の結果を見た日でもあり、オレはその日デモに参加したあとPITINNでONJT+をやる直前に選挙結果を聞いたのでした。あんなことがあっても世の中動かないのか・・・と一瞬おもったけど、まずは演奏。そして翌日11日、強烈な余震の中、オレは震災後初めて福島に車で入りました。福島に行くとともにある決意をしたのがこの日でもありました。やるのは誰かじゃなく自分なんだという決意。


福島はオレの育った所です。嫌いで飛び出した街でもあります。そこは前となんら変わらない風景で、空も美しく、星も奇麗なのに、でも線量計だけが跳ね上がる・・・そんな世界になってました。会う人はみな一見普通にしてるけど、でも心からだらだらと血を流しているようにすら見えました。あのとき、ほぼ反射的に走りだしたように思います。わけがわからないくらいオレは怒っていて、かつ同時に泣いてもいました。誰に対して怒ってるのかすらわからない怒りのカオスと、なんで悲しいのかもわからない涙。本当にこんな感情しか出てこなかったのが4月でした。それからの数ヶ月間は、プロジェクトFUKUSHIMA!を立ち上げ、8月に福島でフェスをやったり、福島と外の回路になるメディアを作るために全力で走りました。こんなに全力で走ったことはないんで、体も心も、おまけに財布までヘトヘトです。でも、残酷にも放射能の状況は好転なんかしてないんですよね。


ヘトヘトがピークに達した10月、オレはチェルノブイリに行ってきました。震災以降初の海外です。福島の25年後がそこにあるのかと思うと、どうしても見たくなったんです。半年もの間国内に滞在したことは過去20年なかったんで、久々の海外はそれだけでも開放感がありました。汚染地帯のナロジチ地区には今も1万人近い人たちが住んでいます。街中は0.3μSv/毎時、湿原地帯は2〜3μSv/毎時、森の中の値はもう少し高そうです。25年経ってこの数字。健康被害は当然出続けていますが、そんな場所にも人々の暮らしはあって、皆迷いながらも日々の暮らしを送っています。それを見るのは本当に複雑な思いで、ひとことではその感情を説明することはできません。ただ、福島の未来は、いやいや日本の未来は決して甘くはないぞということだけは、はっきりとわかりました。


オレにとって新宿PITINNは天国です。聖地です。ここに来ると、下界の煩わしいことを忘れて、ひたすら大好きな演奏が出来るわけで、なんて素敵なことなんだろうって思います。せめて年末くらいは本当に、こんなひどい世の中のことを一瞬でも忘れて、好きなことをやりたいなあって思います。だからこの4日間は小さいけど祭り、大友祭りです。オレは昼夜8公演ひたすら演奏をしつづけます。放射能の状況はなにひとつ変わってないかもしれないけど、この数ヶ月、みんなの動きを見ていて、自分も動いてみて、それでも人って捨てたもんじゃないなとも思っています。でもって、好きなことやりたおさんで、この状況に僕らは打ち勝てるわけないじゃないかって。だから思うんです、オレ好きなことやってやるぞ〜、好きなことだけやって一生終わってやるぞって。