音を聴かない録音
録音も無事終了。素晴らしい出来。今回この宅録トラックは、浜田真理子さん、石川高さん、魚喃キリコさん、そして今日の大蔵雅彦さん、SachikoMさん、全てみな、他のトラックの音を一切聴かずに、ただ数分間ソロで演奏してもらった。オーケストラのメンバーにもスタジオで数分間、キーだけ指定してあとは何もいわずに録音したもらい、これをこの宅録のトラックに加えている。で、並列に並べたものをほとんど編集せずにそのままの状態で作品にしようとおもっているのだ。つまりは参加メンバーは皆互いの音を一切聴いてなくて、自分のソロをやっているような状態。なんでこんなことをしたかといえば、ミュージシャンは皆耳が素晴らしくよいので、他の音を聴くとそれにあわせてしまう・・・つまりは音楽全体の方向を判断して舵取りをしてしまうからだ。無論それでもいいのだが、そうではない方法を試したかった。演奏家が方向を決めるのではなく、聴き手の判断、聴取能力に賭けるような音楽。実はこの方法はFilamentBOXの5枚目SachikoMの作曲で試した方法だけど、通常の歌がはいるようなものでも可能なのでは・・・と思ったのだ。今回の作品はカヒミ・カリィさんが歌っているトラックでも通常の和声とはまったく別の響きをクローズアップしたりもしていて、歌もののアルバムでありながらかなりの冒険をしている。ただそんな作った側の意図が問題なのではなくて、そうやって出来たものが、聴き手にこれまでにない響きをもって伝われば、それでいいと思っている。こちらの意図で作品を完成させるのではなくて、聴き手に伝わった時点で初めてはじまるような音楽、あるいは歌・・・そんなもんが出来ればいいと思っている。