写真は京都のWithout Records展から

otomojamjam2005-07-21

今日は笙の第一人者、石川高さんにきてもらい「 ミ ヨ」の録音。飴屋さんのエキジビジョンに使われる音だ。石川さんには「君が代」のオリジナル(オリジナルは雅楽の曲で、別に国歌ではなかった)の雅楽のコードの断片を演奏してもらい数テイク録音。さらにSachiko Mのサイン波をあてたものも録音。石川さんはさすがに「君が代」の起源や、その和声にも詳しくて、ほとんど彼の知識と演奏能力がなければ、この手の作品はまったく成立しない。浜田真理子さんや津上研太魚喃キリコさんも録音にきてくれたトイレ前の廊下にマイクを立てて録音。この廊下はナチュラルリバーブがあって意外といい音なのです。
で、まずはこれら録音したものを解体したり、しなかったりしつつハードディスク数チャンネルに流し込んで、で、さらにはバグ的な要素となるものも何チャンネルかに流し込んで、これを会場のヘッドフォンシステムにつなげば、大雑把にはこの曲が完成する。
とはいえ、今回の作品は、ただのコンサート用に作曲作品ではない。あくまでも飴屋さんの展示の一部として機能するものだ。今回のテーマは「消失」。名前にはじまり、いろいろなものが消失している。わたしの音は、具体的には特殊なヘッドフォンをかけた人が、会場にセットされたいくつかの金属プレート(これは多分会場に大きく展示されるサワラギさんの文章の欠落部分につけられることになるだろう)に触れると、プレートごとに別々のチャンネルの音が出る仕組みで、複数のプレートにさわれば、うまくすれば複数の音がミックスされるし、場合によってはただの電気的なバグノイズが出ることもある。さらには、この金属プレートをさわっている人にさわってもヘッドフォンが鳴り出すので、会場で実際に見知らぬ人と手をつないだりしながら聴くというシステムだ。
いずれにしろ、どこをどうさわろうと「君が代」は完成しない。それどころか、わたしも含め、誰にも音楽の全体像は把握できないし、同じ音を他の人と共有することもできない。そもそもここに書かなければ、これが「君が代」のコードだったなんて、多分誰も気づかない。素材はともかく、消失した末にまったく別の意味が立ち現れてくるはずだ。ヘッドフォンをかけたあなたの能動的なアクションではじめて音が鳴るけれど、それはあなたと手をつないだヘッドフォンをかぶったもうひとりの他人以外とは共有できない体験でもあって・・・なんて書いてるとややこしいなあ、もう(苦笑。
7月29日から25日間やりますので、できあがったら体験しにいってやってください。なをこれはあくまでも音の部分だけの話で、ここには書けませんが飴屋さん自身の作品は、例によって危険きわまりないものになりそうですよ。詳細はこのサイトでhttp://www.phouse-web.com/main/


さて、これから中村八大の編集と、あとはNHKドラマのテーマ曲の作曲っす。
あ〜〜〜、まじ体がもうひとつ欲しい。