KOREA REPORT 1

otomojamjam2006-05-13

もしかして手帳どこかでなくしたかも。家にわすれただけならいいのだけど・・・。やな予感。これがないとこの先のスケジュールがまったくわからないぞ、オレ。




さて、気をとりなおして、ソウルの初日。
リュウ・ハンキル(Ryu Hankil)が企画する『in RELAY』初日。会場は弘大にあるカフェ「イリカフェ』。今日は韓日セッションってかんじでセットリストは以下。


1st set
1 キム・テウン(Kim Taeeun映像)+リュウ・ハンキル(Ryu Hankil、時計の内部メカを使った演奏)
2 大友良英(tt & g)+リュウ・ハンキル
3 Sachiko M(sine waves)+チェ・ジュニョン(Chi Joonyong CDプレイヤーの内部奏法)+佐藤行衛(g)


2nd set
1 シン・ジョンヨプ(Shin Jungyeop映像)+ホン・チュルギ(Hong Chulki, TT)
2 Sachiko M+ホン・チュルギ+べ・ミリョン(Bae Miryung, Laptop)
3 大友良英+ジン・サンテ(Jin Sangtae, electronics)+バル・ゴットリーブ(Baruch Gottlieb, synth)



昨年9月のアジアン・ミーティングにきていた5人(リュウ、チェ、ホン、ジン、佐藤行衛)についてはすでに知っている人も多いと思う。先月号のワイアーにも3月におこなわれたこのイベントとともに彼らが写真入りで紹介されていた。
そもそも彼等と知り合ったのはドラびでおの一楽義光の紹介で、もう3年くらいになるかな。当時は、単身韓国に渡っていた日本人ミュージシャンの佐藤行衛が毎月プルガサリの名前で即興やノイズのコンサートを企画していた。それまでカン・テーファン等による高いレベルの楽器演奏による独自の即興演奏しかなかったソウルのシーンの中で、佐藤さん等のやっていたノイズや音響に強い影響を受けた(まったくジャズを通過していない)即興演奏はまさに孤立無援というか、まったく理解されないものだったに違いない。最初は佐藤さんと、今はYOGIGAというエクスペリメンタルストア兼レストランを運営するハンジュの2人ではじめた企画にすこしづつメンバーが加わりだす。最初はアストロノイズ(チェ・ジュニョン、ホン・チュルギ)の2人だったり、アルフレッド・ハルトやジョー・フォスター等の在留外国人ミュージシャンだったり、それこそ、それまでやる場のなかったミュージシャンが回を重ねるごとに集まってきたらしい。前にもレポートしたとおり、佐藤さんの企画は、客こそ少なかったけれど、様々な人種と、様々なオルタナティブな音楽が行きかい、韓国語、英語、日本語、ドイツ語が飛び交う、コスモポリタンな空間だった。こんな空間は日本はおろかアジアのどこにもないのではないか・・・ましてや10年前、20年前の韓国では考えられないような空間だった。


音楽のほうも面白かった。たとえばノイズとか音響みたいなあるひとつの方向を向いた音楽ではなく、よく言えば脱中心的というか、悪く言えばまとまりがないというか。それでもオレにはそのまとまりのなさがネガティブなものではなく、ある可能性に見えていた。しかもどこにもない個性を彼等はもっていた。だからこそアジアン・ミーティングを東京でやろうと思ったくらい。特にアストロノイズの2人は日本に住んでいたらONJOに迎えたいくらいだ。
毎回会うたびに(ここのところ僕等は1年とあけずに会っている)彼等の個性は際立ってきている。はっきりとソウルシーンと言えるような個性を持ち出しているのだ。ノイズでも音響でもなく、いわゆる即興でもなく、でもそのどれにも影響を受けているなにか。非常に力強い独特の何か。いつもそうだけど、新しいものが生まれる瞬間に立ち会えるってのは本当に幸せなことだ。みんなから全然理解されなかった異境の地に生活する佐藤行衛の存在が、これまた誰にも理解されずに行き場をなくしていたソウルのノイズメーカー達と結びついたときに、風通しのいい新しい場、新しい音楽を生むことになったわけで、こんな場を生んだ佐藤さんやソウルの仲間達を心から尊敬する。ただでさえ日本人ってだけで嫌われかねない場所で、地元の仲間や、ソウル在住のいろいろな国の連中を巻き込んで、しかも長期間にわたってしっかりと活動を続けることがどれだけ大変なことか、ちょっと想像力のある人ならすぐにわかるはずだ。新しい音楽が生まれるときってのは、新しい音楽を創りたいから生まれるんじゃなくて、そういう音楽が必要だって飢餓感から生まれるんだとオレは思っていて、きっと彼等にはある種の飢餓感、あるいは危機感のようなものがあるに違いない。オレはそのことに敏感でありたいし、そうした中で独自の音楽を生みつつある彼等を、本当に凄い・・・って素直に思うのだ。そしてこの飢餓感のようなものは、東京に住むオレにもはっきりとあって、多分これを読んでいるあなたにもあるんじゃないかとオレは思っている。だからオレは場を作る。
彼等とはこれからも一緒になにかをやっていきたいな。




明日は(もう今日だ)また別の会場でFilametやFilament+Astro Noise他・・・え〜と、もらったチラシがハングルで書いてあるんで、場所の名前わかりませ〜ん。ソウルの方、どこかのサイトで見つけたらぜひいらしてくださ〜い。