歌の魅力

otomojamjam2006-08-28

さがゆきさんの歌う中村八大作品集のコンサート『see you in a dream』の東京公演から3日たってますが、いまだ興奮さめやらずの大友です。どこをとっても素晴らしい演奏でしたが、個人的には、本当に久々に聴いた山本精一の歌と、さがさんとのデュエットにやられてしまいました。渋谷さんと研太やタイセイくんのセットも素晴らしかった。


目下のわたしの大きな興味のひとつは「歌」です。声による歌もあるし、声ではない、楽器による歌もあるし、場合によってはそうした音になっていないものも含みます。「歌」は昔からいつでもものすごい身近で、でも考えれば考えるほど謎です。とってもわかりやすいのに、でも全然謎だらけ・・・みたいな。
この世で一番好きな歌モノのアルバムPhew&山本精一の「幸福のすみか」は、ものすごいシンプルなのに、いまだに何に惹かれているのか全然わからない。でも、ただただ好きなんです。無条件の愛情みたいな感覚。自分にとってそんな感じを抱かせる素晴らしい歌は他にもたくさんあります。坂本九水原弘伊東ゆかり奥村チヨ・・・。
でも、この理屈にならない無条件の愛情のようなものの影に潜む恐怖のようなものも、一方では常に感じています。




今年に入り、カヒミさん、浜田真理子さんとたてつづけにアルバムのプロデュースをしました。どちらも、自信をもって最上の作品です。一見今までわたしがやってきたこととは全然違う印象を受けるような予感もしますが、でも自分の中では今までの仕事と確実つながっていて、今の自分にとっては、切実なかけがいのない創作でもあるし、なによりカヒミさん、浜田さん、2人のまったく異なる魅力をもつ素晴らしい歌い手を微力ながらサポートできたことを誇らしく思っています。
どちらの作品に対しても、わたしは無条件の愛情と、その影にある恐怖のようなものを感じていて、このアンビバレンツな感情こそが、理屈にならない「歌」の魅力の根源なのかもしれません。




『see you in a dream』ツアー。明日29日は名古屋得三、あさって30日は京都同志社大学寒梅館ホールです。
多分、もう2度と聴くことのできない、さがゆきと山本精一のデュエットによる「上を向いて歩こう」と「夢であいましょう」の2曲を聴くだけでも、価値のあるライブになると思います。そこには今のポップスの多くが失ってしまった「影」のようなものがしっかりと宿っています。



会場でお会いしましょう。




写真はアメリカ製ハーモニーのRocket。60年代製。