メキシコレポート(長文っす)

otomojamjam2007-03-30

Radar Fes@Mexico City


ハヤ!  もうメキシコでのライブの様子がyoutubeにアップされてる
http://youtube.com/watch?v=d9aOWSemwcs&mode=related&search=otomo%20yoshihide
これは21日のフリスとのDUO。御丁寧に編集までしてある、だれだよもう(苦笑




http://youtube.com/watch?v=k-3sR5oOHBo&mode=related&search=otomo%20yoshihide
こっちは23日のほうで、最初がメキシコのマリオ・デ・ヴェガのソロ、次がギュンターミュラー、ノルベルト・モスラング、ジェイソン・カーンのトリオ。そして最後がオレのソロ。体が揺れるくらいの重低音フィードバックの爆音ソロなんだけどyoutubeだとそのへん全然わからないですね。ひとりで興奮してるように見えてアホみたいだ。



そうそうマリオだけじゃなく、メキシコにもノイズというか、即興というか、音響というか、そういうシーンは小さいながらあって、いただいたCDを聴いてみたりしたけど、これが面白かったのだ。特にエレクトロ二クスのRogelio SosaとAndres Solisの「.PIG」というDUOのCDは良かった。一部ここで聞けます↓
http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewprofile&friendid=163194246
彼等はパリに住んでいたとこがあって、そのときにFilamentのライブも見ているそうだ。




さてと、退院後2週間で行ったメキシコ公演。一応担当医の先生のOKは出てはいたものの、傷口は多少膿んでいるし、体力も完全ではなかったしで、不安がないと言えばウソになる。でもまあ、やってみるもんですねえ。
自宅から24時間かかってメキシコシティのホテルに到着したときにはさすがに疲れてすぐ寝てしまいましたが、翌日市内に出ると、もうすっかり元気に。ベトナムやタイに行ったときもそうだったけど、やしの木がストリートに生い茂る南国の都市ってのは、歩いているだけでそこはかとなく明るい気持ちにさせてくれる。よくも悪くも、いいかげんでバイタリティある感じが、オレにはあっているのかも。
おまけにメシが美味い。実に美味い。アメリカで食べるメキシコ料理とは全然違うしバリエーションも豊富。
退院後は食べる量こそ減ったけど、でもなぜか舌の繊細さがまして、美味いものは、前以上に美味く感じる。術後に最初に出た何も入っていない五分粥ですら、米の香りにうっとりしたくらい舌と鼻が敏感になっている。手術前後の2日間絶食のせいもあるかもしれないし、これまでちゃんと機能してなかった胆嚢がなくなったおかげで、内蔵が元気になってきたせいかもしれない。逆に、コンビニの弁当やらファーストフードは、味が強すぎて、塩辛く感じるというか、舌がちょっとだけぴりぴりする感じがして全然おいしく感じないし、そういうものを食べるとどうも下痢をしやすくなる。京都のファーストフードのような定食屋でステーキ定食を食べたらとたんに下痢をした。でも不思議なことに、ちゃんとした料理をだしてくれるいつもいく某料理屋ならなにを食っても全然平気。ってか、やっぱり、すごい美味く感じるのは以前以上だ。
そんなわけで、メキシコでも、飲み水や食べ物に気をつけつつも、あまりにも美味いので、現地の人にいろいろなメシ屋やら、挙句食材を売っているマーケットにまでつれていってもらった。もうこれだけでも大満足。行った店では舌がピリピリすることもなく、油にあたることもなく、下痢もせずに1週間をサバイブ。




コンサートのほうは上記youtubeで見れる2日間ともソウルドアウトの大盛況。もって行った40枚のCDは、初日オープンと同時に即完売。なぜだかメキシコ全権大使という方から花束までとどけられるは、サイン攻めにあうはで、まるでスターになった気分。こんな程度のことて、オレは簡単に気分を良くする。根が単純な証拠なり。いつもだと、こういう目にあうとうざったくて逃げ出すんだけど、南国の「どうにかなるさオーラ」とでもいうか「なにがあっても大丈夫ムード」というか、とりあえず「女性はみなきれいで陽気状態」というか、そんなものにだまされて、終始上機嫌で1週間をすごしました。おまけに僕等の出る日以外にも、エルメスト・パスコアールやら、クリスチャン・フェネスやらのコンサートもあって、なにより毎晩コンサートを見るのが楽しかった。




ところでフレッド・フリスとDUOをやるのは、もしかしたら初めてではなかろうか?過去に何度も共演してきてるし、最近は同じROVAオーケストラのメンバーなので、よく顔を合わすし、一緒に演奏することも多いのだけど、DUOは多分はじめてのはずだ。
そのフレッドと彼の奥さん、それに地元メキシコのミュージシャン2人と、唯一のオフの日に、メキシコ郊外にある古代都市テオティカワン遺跡へ。ここには南米最大のピラミッドがある。普段はこういう観光みたいなことは一切やらないし、むしろ嫌いなんだけど、なんというか、やっぱり「どうにかなるさオーラ」と「なにがあっても大丈夫ムード」のおかげで、ついうっかり、皆が行くというのに乗せられて、人生に一度くらいはピラミッドに行くのも悪くないかと思ってしまったのだ。しかし行くのはいいけど、まさかピラミッドは登るものとは知らなかった。2000mの高地、しかも術後。大丈夫かオレ?



ピラミッドに登りながらのフレッドとの会話。
「大友はなんの手術をしたの?」
「胆石で、胆嚢摘出です、ハア、ハア(息が切れてる)」
「あ〜〜、胆石はね、怒ってばかりいると出来るんだよ」
「え〜〜〜まじ????  そんなん聞いたことないっす、フウ、フウ」
「まじまじ、オレの義理のお袋が怒ってばかりいて胆石になった」
「いや〜〜 食べすぎですよ 原因は フウ フウ、あ、でも術後はあんま怒ってないから本当かも アハハ」



「ところで、きのうはまさかギターだけでDUOになるとは思ってなかったよ、すごい面白かった」
「ハア、フウ、お、お、面白かったですねえ ハア フウ」
「最近はギターだけの即興もやるの」
「フウ、フウ、ハア は、はい、ハア、ハア」




しかし、こんな貴重な遺跡に、ぞろぞろと観光客が登りまくっていいのだろうか? 




ピラミッドの頂上は、風が吹きすさび、高所恐怖症のオレには高くて怖いところだったけど、でもその眺めは絶景。盆地の中央にこんな山みたいな立派な建造物を作ることで、権力の象徴としたのか、太陽に近づこうとしたのか、立派なものの嫌いなオレにはいまいち良くわからないけど、よくあるような神秘を感じたりなんてことは全然なかったなあ。ピラミッドの頂点に立つと霊的パワーが増して、術後の傷がさっと治るとか、そういうやつね。幸か不幸かオレにはそういうアンテナが全然立ってないのだ。人間ってのは、いつの時代も馬鹿馬鹿しいもんをつくってるのねえ・・・というため息まじりの感慨ばかり。ま、オレ等が作っている音楽も馬鹿馬鹿しさにおいては負けないか。たださ、馬鹿馬鹿しいことは個人個人好きなもんが誰にも迷惑をかけずに勝手にやればいい・・・オレはそう思うのだ。なにも何万人もの労力と権力やら富を使って、こんなもんつくらなくても・・・なんて野暮なことを、遺跡やら神殿やら教会やら寺院やらを見るとついつい思ってしまうんだけどね。ま、でも、バルセロナのサクラダファミリアなんかを見ると、こういう馬鹿馬鹿しいのも全然ありかも・・・って思うから、今の視点で軽々しく書いてはいけないわな。ハアハア・・・しっかし、登るより降りる方が大変。フウ、フウ。みんはとっくに降りてお土産を買ったりしてる。オレはこういうのいつもビリッケツ。小学校のときからビリばっか。でもさ、手術3週間目で、こんなとこ上り下り出来るんだから、神様に感謝しなきゃバチがあたるってもんかもしれない。フハ〜〜〜。みんなまってくれよう、疲れたよよよょょょ(これ、やまびこね)。




おかげで、時差ぼけやらなんやらであんまり寝れなかったんだけど、この日ばかりはベッドにはいったらぐっすり。体力ももどってきたしで、やっぱピラミッドパワー、あるのかな?
う〜〜〜ん、なんだかしまりのないメキシコレポートだな。もっと地元の音楽シーンのこととか書けよ・・・って話ですが、ま、今回は初回なんで、そのうち、彼等との交流がもっと深まればいろいろとね。いずれにしろですね、メキシコといい、勝井さんが頻繁に行き来しているアルゼンチンといい、マルキドさんが交流を深める中国といい、佐藤行衛さんが窓口になってシーンを活性化しているソウルといい、そして、多分今年後半に行くことになるであろうシンガポールといい、続々と面白い音楽家たちが登場してきていて、オレとしてはうきうきせずにはいられない。この先夏までは、体のことを考えて旅は自重するつもりだけど、でも、やっぱり、こう面白いことがいろいろなところで起こってくると、もっともっと現場に飛びたくなってしまう。ま、このへんは来年以降の楽しみにとっておこう。




明日31日は新宿PITINNでポール・ニールセン・ラヴ、ナスノミツル、そしてオレのトリオです。セカンドセットには超大物シークレットゲストもあるのでお楽しみに。ではPITINNで。