本物のアホがゆくカールスプラッツ

otomojamjam2008-04-29



ウィーン3日目です。今回ここに来たのはクリスチャン・フェネスのプロジェクトに参加するため。エスキーモーの生活を描いた1922年の無声映画「NANUK」にライブで音楽をつけるのが僕等の今回のミッション。クリスチャン作曲、演奏は現代曲の演奏で有名なKLAMGFORM WIENオーケストラからコントラバスビオラ、バイオリンのストリングトリオと、ヴィオラダガンバのEVA REITER、それにクリスチャンのギターとラップトップ、わたしのギターとターンテーブルの6人編成。彼の作曲といってもわたしのパートはほぼ即興。クラシックからきているほかのメンバーも即興パートだらけだけど、さすが音楽の都ウィーンの演奏家だけのことはあって、みんな良い音だして即興しております。遠くのモニターに出る小さな数字を見ながらの即興なので、本番は眼鏡かけます。なぜかこの年齢になって近眼がすすんでしまったのだ。普通は逆で、近いものが見えなくなるんだけどね。でも目医者によると老眼の初期症状らしい。購入したのはあくまでも近眼の眼鏡で老眼鏡じゃないぞ・・・・と言いたくなる自分が嫌っすねえ(苦笑。往生際わるいよ。
本番は明日30日。会場はベートーベンも演奏したことで知られるKONZERTHAUS。実はここの1500席もある会場がチケット発売1ヶ月もしないうちにソウルドアウトしてるらしい。すげえなあクリスチャン。彼によれば、オレ、ずいぶん前にここで演奏しているそうだけど、全然覚えてないや。本当だろうか? 最近物忘れはげしいから本当かもしれない。




ところで、今回泊まっているホテルやこの会場はカールスプラッツのすぐ近く。ブレヒト/アイスラーの有名な曲で「カールスプラッツのポプラの木」というのがあって、これは80年代に黒田京子のORTというバンドにいたころよくやった大好きな曲。特に篠田昌巳がサックスを吹くときの演奏が好きだった。のちに97年にはGROUND-ZEROでも菊地成孔バリトンサックスでカバーしてる。戦火で街は崩壊したけれど、カールスプラッツのポプラの木だけは残った・・・というような内容の歌。
 ウィーンには過去少なくとも20回以上は来てると思うけど、一度もこのポプラの木を見に行ってない。その気になれはいつでもいけたのに。なんでかな? ここにかぎらずウィーンの観光地や名所のような場所にも一度も行ったことがない。ウィーンだけじゃやない。仕事で行くと、まず観光のようなこと、オレ全然しないんだよなあ。する時間はあるんだけど、ホテルでごろんっと本を読んでるか、街中をあてどもなくぷらぷら歩いてカフェにいくか、あとはうまいレストランにいくかだけなのだ。自分でもこの非アクティブさには本当にあきれるんですけどね。ただ、そうやって歩いたりカフェにいくと、いつもいろんな音楽上のアイディアを思いつくんです。まあ、アイディア思いつくために歩いたりしてるんじゃないけどね。
 今回、会場もホテルもカールスプラッツのすぐ近くなんで、行ってみたんですよ、初めて。プラプラと散歩がてらポプラの木を見に。一度くらい見ておこうなんて柄にもないこと考えたのだ。で、行ってみて、ものすごいことに気がついたのです。いったいどれがポプラの木なのか全然わからないのだ。オレ、植物に関しては食べれるもの以外は異常な音痴といえるくらい無知なのはわかってるんだけど、まさか、ポプラのような簡単に識別できるはずのものがわからないとは・・・(汗。本当にどれがポプラかさっぱりわからない。今更ながら学校にちゃんと行かなかった自分を悔やんだんだけど・・・というより、ポプラどうこうは学歴の問題じゃねえな。一般常識の問題。ってか、オレ本物のアホです。今日という今日ははっきり自覚しました。物忘れでぼけてるんじゃなくて、最初からアホなんです。なんとかアホに見せまいといろいろえらそうにしてきましたが、ごめんなさい、やっぱ無理でした。せっかく日記にポプラの木の写真のせて、いい感じで反戦のこととか書こうとおもったのに〜。お前にそんな資格はないんじゃ、このボケ!
え〜、とりあえず一番古そうな木の写真のせますが、これがいったいなんの木なのかオレ全然わかりません。この公園にあるどの木一本とってもオレ、なんの木だかさっぱりわからない・・・ということに今更ながら気付きました。音楽さえやってればいい・・・なんて音楽家気取りで思い上がって生きてきたツケです。自然とか全然興味ない、ネオンに囲まれていればいいのだ・・・なんてえらそうにしていたツケです。日本に帰ったら植物図鑑買って精進します。