オバマさんの就任式の日に

otomojamjam2009-01-21

ずっと日記を書いてなかったのは、サントラの仕事やライブが立込んで忙しかったのもあるけど、本当に半端ないくらいやることが沢山あって忙しいけど、でも、一番はパレスチナのニュースを見ていて暗澹たる気持ちになって、ブログを書く気がうせてしまったから。先日の高嶺さんとのイベントで全部歌で行こうと思ったのも、実はそういう理由もあったのだ。オレにとってはあの日高嶺さんや二階堂さんと歌った浅田美代子の「赤い風船」だって、NOVOTONOの「夢の半周」だって充分に反戦歌だ。オレが暗澹たる気持ちになったり、歌ったりしたところで、殺し合いも民族差別もなくならないのはわかってるけどさ。仕事でデモに行くことも出来なかったオレのせめてもの反戦歌。


でも、ここのとこ友人達と話していて、なんだか気分が晴れてきた。なにを話したってわけじゃないけど、まあ、ほとんどは世間話や、くだらない話だったりするけど、やっぱりオレにとって重要なのは、人との関係性の中で生まれるものなのだ。この人にオレはなにが出来るかな・・・でもいいし、この人と作品つくったら楽しいだろうな・・・でもいいし、あ、この人がこんなアイディアをもってきたけど、さあオレどうする・・・でもいいし、たまたま一緒に作る羽目になったでもいいし・・・。昨年やったENSEMBLES展の根幹になる発想は、そういう素朴な部分だったりする。


どうでもいいけど、国とか国家とか民族とか、ほんとうは個人で把握できるはずもない大きな話を持ち出して、人を排除したりするのは、やめましょうね。昨年の国籍法の改正の際に、日本人を守れ、外国人が日本に大量にはいってきていいのか・・・みたいな議論がそこここで出てきたのを見て、オレは、本当に、差別をここまで露骨にする人たちが実は日本には沢山いるということ、しかも、その発言内容のレベルの下品さと、本人たちがそれに気づくこともなく堂々と正義を振りかざしている姿に愕然となって言葉もでなっかったんだけど、そういうことに対して、暗澹たる気持ちになってないで、ちゃんと自分の立ち居地で意見を表明していこう・・・高嶺格の本「在日の恋人」を読んで、そう思っている次第。ぼくらが作品をつくるというのはどういうことなのか・・・ということを正面からなんのひねりもなく直球で書いた名著です。必読。





今年はアンサンブルズ展をゲリラ展開していくのと同時に歌を沢山つくろうと思う。






明日22日は、わたしがもっとも敬愛するサックス奏者、日本でおそらくは最初にフリージャズとは一線を画す即興演奏をサックスソロで今から30年近くも前に実践したパイオニアの広瀬淳二の復活ライブがPITINNで行われます。


もうだれも知らないとおもうけど、かつて80年代に彼が出したサックスソロのアナログ盤はわたしにとっては本当に重要なアルバム。日本ではだれひとりとしてこのアルバムを紹介したり評価した批評家がいなかったけどね。情念を込めたり、ある音楽のジャンルのアイデンティティを込めるのではなく、サックスという楽器を、息を使って空気で振動させるただの金属の管のマシーンとしてあつかった日本で最初の音楽。


自分自身のやってることを言葉や作曲という方法でわかりやすく説明するようなことは一切せずに、ひたすらサックスと自作のノイズ楽器で即興だけをやりつづけてきた広瀬さんをオレは心から尊敬してる。
今から25年まえ、まったくやる場所の無かったオレに、突然電話をしてきて一緒にやろうよ・・・ってさそってくれた広瀬さんが、昨年、また突然電話をしてきました。

「サックスでフリージャズがやりたくなってさあ、手伝ってくれないかなあ」 

広瀬さんが帰ってくる! もちろんオレの答えはYES以外にあるはずもない。GROUND-ZEROの最初期にものすごい音と強烈なスピードで即興サックスを演奏していたのが広瀬さんだ。


明日のライブのメンバーは広瀬さんに芳垣安洋とオレ。彼の演奏がどれだけすばらしいか、ぜひぜひライブで体験してほしいなあ。



あ、上の写真が広瀬さん。彼のサックスはdoubt musicから出ている「GROUND-ZERO1992」でも聴けま〜す。