久々の欧州ツアー 〜 あまちゃん音楽マメ知識

久々のヨーロッパツアーを終えて、再び「あまちゃん」の音楽にかかってます。
宮藤さんの脚本、おもしろすぎて、次から次にやることが増えていきます。通常の劇伴は脚本があがってからの仕事になるので、それどころか撮影が全て終わってからの仕事も多いので、今回のように、本、撮影、編集が同時進行でからみあいながらやれるの、本当に面白いです。ライブに近いというか。


ヨーロッパツアーのほうは、ノルウェイデンマーク、フランス、スイス、イギリスで全9コンサート。
40代後半で体調をくずしたり、あと震災もあったんで、もうツアーはやめようかって思った時期もありました。でも、どう考えても、自分の音楽的な基礎体力みたいなもんは90年代から0年代前半にかけて、ものすごい量の海外のツアーをしてきたことで、つちかってきたようなところがあって、だから、しばらく日本にいると、やっぱり、出たくなるんですよねえ、ツアーに。
前のような無茶は出来ませんが、でも、こうして一人で久々に回っていると、何年かぶりに会うそれぞれの土地の友人たちやファンの方に大歓迎されるし、初めて会う若い面白いミュージシャンが刺激的だったり。
たとえば東京のシーンと、ロンドンのシーンひとつとっても、おなじ即興演奏ても日本語と英語くらい違うんだけど、その違いやら落差、時には価値観の違いまであるのに、そんなびっくりするくらいの違いを行き来する中で生きてくのが、オレ、やっぱ好きなんです。そうやっていろんな都市を移動しながら、いろんなシーンとおつきあいして行く中で、「違い」を考えたりおもしろがったり、不自由に感じたりすることが楽しいというか。で、そんなことをあれこれ逡巡しているうちに移動中の列車の中で、面白いアイディアをおもいついたり、いろんな考えがめぐってきたり、そうやって、オレ、音楽つくってきたっけ・・・というのを何年かぶりに思い出しました。別に外国語が得意なわけじゃないけど、でも日本語ではないところにいると、すごく頭がリフレッシュする感じもあるんです。コミュニケーションが不自由なことで起こる気持ちよさというか。明らかに見た目も習慣もちがうであろう、いろんなタイプの人たちがいて、いろんな人種や言語があることの居心地の良さとでも言うか。みなが同じ前提で生きてないことの開放感とでもいうか。そんな中にいると、体はきつくても、気持ちが生き生きしきて・・・困ったもんです。
なんだか、今週の「あまちゃん」の、体の事を考えで船に乗るのをやめた忠兵衛さんが、がまんできなくてまた海に出る気持ち、わかるような気がします。
ということで、ツアー再開。今年は秋にも行くこと決めた。
ってか来週も香港に行くんだった。香港ではアート・リンゼイと。楽しみ。


あ、今週とうとう天野春子こと小泉今日子さんが歌う「潮騒のメモリー」でてきました。1986年に映画のエンディングテーマ曲としてヒットしたという設定で宮藤官九郎さんの作詞でつくられた劇中曲です。ご存知の方は意外におもわれるかもですが、作曲のほうは実はサインウェイブの演奏家Sachiko Mさんとわたしの共作です。音楽的な語法からもっとも遠い超エクストリームでミニマルなSachiko Mの作風からは想像もつかないことですが、あの曲のメロディの主要な骨格は彼女の作曲がもとになっています。
彼女の音の展示作品、ちょうど神戸新長田で今日オープンです。一見「潮騒のメモリー」とはかけ離れてますが、興味ある方は → http://aki.ehoh.net/sachikomstopover.html
この曲については制作過程も面白く、書きたいネタはもうほんと沢山あるんですが、まだその時期ではないので、詳細はいずれまた。制作にかかわってくださった皆さんもまだ内緒でお願いしま〜す!



ということでツイッターに書いてる【あまちゃん音楽マメ知識】のまとめで〜〜す。


あまちゃん音楽マメ知識24】三陸高校潜水土木科の歌として出てくる「南部ダイバー」。お問い合わせ多いですが、これはさすがにわたしの作ではありません。モデルになってる種市高校海洋開発科で実際に歌われている歌で、岩手の作曲家安藤睦夫さんが作詞作曲したそうです。


あまちゃん音楽マメ知識25】おじいちゃんが最初に登場したときに流れたクレッツマー+ちんどんのような音楽。演奏は旧チャンチキトルネエドのメンバーたちです。台本を読んだときに最初に思い浮かんだのが彼等と一緒に浅草の路上でやったライブでした。今年も7月20日浅草でライブ予定してます。


あまちゃん音楽マメ知識26】先週の種市先輩が最初に登場した南部もぐりの水中シーンのちょい風変わりな音楽は、先般来日したフレッド・フリスのバンド「マサカー」の曲の音列を使って作った曲です。彼らのアルバム「キリングタイム」は私にとって80年代最高のマスターピース。名盤ですよ〜。


あまちゃん音楽マメ知識27】ロンドンで先週後半のあまちゃん一気見しました。アキの夢の中に度々出てくるYMO「君に、胸キュン」は音響デザインチームのアイディアです。作詞は80年代のヒット曲を数多く手がけた松本隆、作曲はYMOの3人。1983年の大ヒット曲です。


あまちゃん音楽マメ知識28】そして「潮騒のメモリー」イントロだけですが出てきました。でもこれ以上は書きません。いろいろ知りたいとは思いますが、ぐっとこらえてこの先の展開をお楽しみに。あ、この曲名で検索すると、先のストーリーの一部がわかってしまうのでくれぐれもご注意くださいね。


あまちゃん音楽マメ知識29】じぇじぇじぇ!公式発表のほうが全然フライングしてる。ということで今週いよいよカラオケで小泉今日子が架空の86年のヒット曲「潮騒のメモリー」を歌います。作詞宮藤官九郎、作曲なんとSachiko M+大友良英。でもこれはドラマのまだ序章です。 http://p.tl/7BZ5


あまちゃん音楽マメ知識30】潮騒のメモリー」と思いきや…。若き日の春子のデモテープという設定で流れた「初恋」村下孝蔵の歌作詞作曲で83年にヒットした曲です。例によってカラオケトラックは80年代前半にありそうな音色設定で高井康生が制作。歌っているのは…ご想像にお任せしま〜す。


あまちゃん音楽マメ知識31】潮騒のメモリー」作詞宮藤官九郎、作曲はSachiko Mとわたくし大友良英。宮藤さんはたった5分で歌詞を書いたそうですが、作曲のほうは、あのとんでもない歌詞を前にとても5分で作曲出来るわけがない・・・苦労しました(笑。事の詳細はいずれ書けるときに。



あまちゃん音楽フライング情報4】まだ内緒ですが、現在、NHK音楽出版より「あまちゃん」のテーマ曲を含む劇伴数曲の吹奏楽用譜面の出版の準備がこっそり進んでおります。お待たせしてますが、発売は6月初旬〜中旬の予定です。今少しお待ち下さい。