デレク・ベイリー追悼コンサートと チャイナを偲ぶ会

otomojamjam2006-01-30

29日は中野のplanBでデレク・ベイリーの追悼コンサート。奇しくもこの日はベイリーの誕生日。


会場に集まった出演者は主にベイリーと共演経験のある40代以上。お客さんのほうは、もう少し若くて20代から、多分70代くらいまで。久々に会う人たちと楽屋でわいわい。
ところでこの日、相倉久人さんが聴取とベイリーについてしゃぺったことが、わたしがplanB通信で連載してきた内容あまりにそのままだったのでびっくり。読んでいてくれたのか、それとも、オレなんかよりとっくの昔から相倉さんは、そういうことを言ったり書いたりしていたのだろうか。わたしは相倉さんの熱心な読者ではないので、そのへんはよく分からない。


オレの出番は2つ。巻上公一、一噌幸弘、大熊ワタル吉田達也との即興セッション。それにギターソロからそのまま田中泯とのDUOを。どちらも無論ベイリーのやってきた音楽的な手法を具体的に意識しつつ、しかし今の自分の方法で演奏。特にソロから泯さんとのDUOは、自分でも非常に満足の行く演奏。これだけをリリースしてもいいくらい。演奏が終わった後、巻上さんが今の演奏のタイトルを考えたよといって、耳元で一言「労働と発電」。あはは、巻上さんさすが、このフレーズ、もし今日のライブのDVDでもつくることがあれば使わせてもらうよ。


ベイリーはオレにとっては誰よりも圧倒的に大きな存在。アカデミズムでもなく、ジャズでもなく、ちいさなライブをやるような小屋での演奏から20世紀の音楽の根本を変えてしまった彼は、いまでもわたしの人生の最大の指針、かつ羅針盤のような存在。単に彼の音楽が好きというレベルをはるかに超えた存在だ。多分これからもオレはずっとベイリーの音楽を聴き続け、ベイリーのことを考え続けていくと思う。それはなによりも自分の音楽人生をまっとうするためだ。





あまり中身の濃さに1時間以上おしたベイリーの追悼が終わると、車を飛ばして、今度は吉祥寺スターパインズカフェへ。昨年11月になくなった羅針盤DMBQのドラマーだったチャイナこと西浦真奈を偲ぶ会。
こちらはライブは一切なし。ステージにはチャイナの本当に素敵な笑顔の写真、それにスティックと沢山の花束。友人がやたら多かったチャイナらしく会場には、沢山の人たちがつめかけて、皆思い思いの仲間達とお酒をのみながらわいわいがやがや。すごい久しぶりの人、年中会っている人、ステージで見たことのあるひとから、だれかの家で会ったことのある人、一緒にバンドをやってる人、親友、全然知らない人、さっと見渡しただけでももう本当に沢山の人たち。音楽家を送る会だもん、ましてやあんな元気なチャイナを偲ぶ会、シメヤカになんかしなくてもいいよな。
場所を変えて深夜遅くまで知ってる顔知らない顔の人たちと、いつまでもわいわいがやがや。最後にいった中華屋ではたてかけていたチャイナの写真が何度も丸テーブルに向って倒れてきた。彼女も餃子を食べながら、僕等の尽きるとも無い馬鹿話に参加していたに違いない。


あの世があるのかどうかわからないけど、きっとチャイナのいった場所は、明るい花が沢山咲いたようになってるんじゃないかな。彼女の明るさとポジティブさの中には、僕等がわすれてはいけない音楽にとっても大切な、多分一番大切な根っこみたいなものがしっかりあって、それは、きっと誰のココロの中にもあるものだ。彼女はその誰の心の中にもあるものに、ちゃんと光をあてることが出来た音楽家だった。だからチャイナはあれだけ皆に好かれた。もうすこし一緒に音楽をやりたかった。そうしたらオレも、いまよりずっと楽しい音楽が演奏できるようになったに違いない。